登記簿謄本を取得したものの読み方が専門過ぎてわからないという方も多いと思います。
登記簿謄本は漢字が難しいですが読み方は、「とうきぼとうほん」と読みます。
登記簿謄本は土地や建物などの不動産に関する登記簿謄本と会社法人など法人に関する法人登記簿謄本があります。
今回は不動産に関する登記簿謄本の読み方をわかりやすく解説します。
登記簿謄本は不動産の情報をわかりやすくまとめたもの
不動産の登記簿謄本は不動産の情報をわかりやすくまとめたものです。
「登記簿謄本」という漢字は難しいですが「とうきぼとうほん」と読みます。
日本の不動産の所有者が必ずおり、不動産に対する所有者の情報をまとめています。
また、その不動産が土地であれば広さや土地の種類(田んぼなのか宅地なのかなど)、建物であれば階数や構造などの情報も掲載しています。
この情報は法務省が管理しており、登記簿謄本は法務局で取得することができます。
不動産を売買したり相続し申請することで登記簿謄本の中身は書き換えられ、常に最新の情報が掲載されます。
また、登記簿謄本はだれでも申請し閲覧できる書類です。
ただし、読み方は学校で習うものではなく専門的なので、知識がないと読むことができないです。
必要なのは登記簿謄本は登記事項証明書かも
不動産屋さんなどに「登記簿謄本を取得してください」と言われ登記簿謄本を取得することがあるかもしれません。
登記簿謄本は法務局の窓口で申請できるほか、「登記・供託オンライン申請システム」の「登記ねっと」でも申請できます。
また、行政書士に依頼し取得代行してもらうこともできます。
だたし、世の中で「登記簿謄本」と呼ばれている書類は「登記事項証明書」の可能性もあります。
登記事項証明書は内容は登記簿謄本と全く同じです。
ただし法務局の捺印がないため裁判など公的な書類として利用できない場合があります。
しかしながら、民間企業に提出するのであれば、登記事項証明書でも通用することが多々あります。
登記簿謄本のほうが登記事項証明書より取得には時間とお金がかかります。
そのため、「登記簿謄本を取得してください」と依頼があった場合、登記事項証明書でもよいのか確認してみましょう。
また、登記簿謄本が読めるようになれば登記事項証明書も読めるようになったと同等に意味になります。
登記簿謄本の仲間には必要な部分を読むためにそのほかにも所有者事項や現在事項証明書、全部事項証明書などさまざまな種類があります。
この種類の違いについては「登記簿謄本、登記事項証明書、全部事項証明書、登記簿、謄本などの違いを解説」に詳しく解説しているので読んでみてください。
登記簿謄本の読み方
登記簿謄本の読み方は非常に専門背的です。
不動産に携わるかたは何気なく読んでいますが、利権関係な登記簿謄本に関してはプロの不動産業者でも読み込むのに時間がかかります。
登記簿謄本の大枠を知ることで7割から8割は理解できると思うので大枠の読み方をしっかり学びましょう。
登記簿謄本は土地と建物で別々
「自宅の登記簿謄本を取得したい」という場合、自宅の土地と建物の登記簿謄本は別々に存在しているので注意が必要です。
登記簿謄本に表記されており基本的な読み方は同じ部分が多いですが、土地で一筆(一つの登記簿謄本のことを「一筆(ひとふで)」といいます)、建物で一筆必要です。
建物によっては物置やマンションの駐車場やごみ捨て場にも一筆存在しています。
土地に関しても見た目上は一つの土地でも登記簿謄本上では複数に分かれており、複数筆登記簿謄本を取得しないとすべての土地をカバーしきれないということもあります。
登記簿謄本を読む前に取得すべき登記簿謄本は何かということを確認しましょう。
登記簿謄本全体の読み方
登記簿謄本の具体的な読み方ですが、登記簿謄本は大きく分けると4つのカテゴリーに分かれています。
各カテゴリー上から順に読んでいけば全体的には問題ないですが、カテゴリ―毎絡み合うこともあり登記簿謄本内をいったりきたりすることはよくあります。
また、登記簿謄本内の詳細部の文字に下線が引かれていることがありますが、これは現在抹消されており有効ではないということです。
各読み方の詳細に関しては以下の通りです。
大きく分けると4つのカテゴリーに分かれている
登記簿謄本は大きく分けると4つのカテゴリー(区、部)に分かれています。
通常、4つの項目とは以下の通りです。
- 表題部(ひょうだいぶ)
- 甲区(おつく)
- 乙区(こうく)
- 共同担保目録(きょうどうたんぽもくろく)
この4つの項目は登記簿謄本によっては出てこないこともあります。
またほとんど表記されませんが、信託目録という項目もあります。
必ず出てくるのは表題部のみです。
読み方の概要としては、表題部は「不動産のスペック情報」、甲区は「所有者の情報」、乙区は「住宅ローンや法人の融資枠など抵当権などについての情報(所有者以外の情報)」、共同担保目録は「金を借りるときに一緒に担保に入れている不動産の情報」です。
信託目録は信託登記(「不動産を売却や相続するわけではないけど、売却したり、賃貸の運営などは任せるよ」)の詳細事項です。
各カテゴリーの詳細な読み方については下で詳しく説明しています。
登記簿謄本は各項目上から下に読んでいく
登記簿謄本の最も重要な読み方として登記簿謄本の甲区と乙区、共同担保目録は上から下に時系列が流れているという点です。
登記簿謄本の上部に掲載されているほうが情報が古く、下にいくにつれ情報が新しくなっています。
しかし、その情報が現在有効か無効かというのは抹消されているかどうかで判断する必要があり、必ずしも掲載されている情報がすべて有効ではないということに注意しましょう。
下線は抹消され現在有効ではない
登記簿謄本内は現在有効ではない情報も掲載されています。
例えば、不動産を売買した場合、前の所有者と現在の所有者両方が登記簿謄本上に掲載されます。
しかしながら前の所有者が現在その不動産の所有権がないため、抹消登記(下線が引かれている)と思います。
また、同じく住宅ローンを完済させた場合にも登記簿謄本に抹消登記がされます。
以前の所有者や以前借りていた情報を残すためにも登記簿謄本上から情報がけされるわけではなく、抹消登記という下線が引かれ読むことはできる状態にしてあるのです。
下線の抹消登記については「登記簿の中に記載されている下線の意味は抹消 現在有効ではない登記に引かれる線」により詳しい解説をしています。
登記棒謄本の各項目の読み方
登記簿謄本の読み方として全体像は表題部、甲区、乙区、共同担保目録に分かれています。
それぞれのカテゴリーの意味を抑えることで非常にわかりやすく登記簿謄本が読めると思います。
表題部の読み方 不動産のスペックが掲載されている箇所

表題部は対象となる不動産自体のスペックが掲載されている箇所です。
土地であれば土地の広さや土地の地目と呼ばれるその時の目的が掲載されています。
地目は23種類あり、「田」「畑」「宅地」「学校用地」など様々です。
建物の場合は大きく分けると住宅やアパートなど1軒や1棟などまるまる保有1筆として登記されている場合と分譲マンションのように部屋ごとに所有者が異なる場合とで登記簿謄本の読み方が異なってきます。
1軒丸ごと登記されている建物の場合、掲載されている情報は構成材料や建物の種類や階数、また面積などです。
一方、分譲マンションなど区建登記の場合、マンション全体の情報と個別の部屋ごとの情報が両方一つの登記簿謄本の中に掲載されています。
表題部は土地の場合は「地番」、建物や区建場合、「家屋番号」が掲載されています。
これは住所のようなものですが、日本では住所とは別のレイヤーで管理されています。
例えば、一つの住宅の場合、住宅には住所と家屋番号があり、その土地部分には地番が存在しているわけです。
住所、地番、家屋番号については 「地番について 住所との違いや登記簿謄本取得に必要な地番の調べ方について」に詳しく解説しているので読んでみてください。
表題部については不動産の最も基本的な部分でありスペックが掲載されています。
この表題部は登記簿謄本の中でも最も基本的な情報で、甲区、乙区、共同担保目録については表記されていない謄本も多々ありますが、表題部については必ず表記されています。
表題部についてより詳しい解説は「登記簿謄本の表題部について詳しく解説 表題部のみ表記パターンもあり」に掲載されているのであわせて読んでみてください。
甲区の読み方 所有者の情報を掲載している箇所
甲区は不動産の所有者について解説している箇所です。
甲区の読み方としては「いつ」「だれに」「どのような理由で」所有者が移動したのかがわかるという項目です。
対象の不動産を売買、相続などしている場合、新しい所有者に引き継がれ、情報が下に更新されます。
読み方としては、左から順位番号、登記の目的、受付年月日・受付番号、権利者その他の事項となっています。
所有権が移動し新しい所有者になった場合、下に表記されます。
ポイントとしては、所有者は移転した場合、上記で説明している下線(抹消登記)はされず、基本的には下部に追記されるという仕組みです。
ただし、現在の所有者の住所が変更になったり、結婚して名字が変更したなどの場合は下線が引かれて変更がされます。
過去の所有者に関しては住所変更などはされません。
登記簿謄本の甲区については「登記簿謄本の甲区の読み方、見方を解説 甲区がないパターンも解説」により詳しい読み方の解説をしていますので、あわせて読んでみてください。
乙区の読み方 住宅ローンや法人の融資枠など抵当権などについて掲載している箇所(所有者以外の情報を掲載している箇所)
乙区は所有者以外の情報を掲載しています。
多いパターンとしては、住宅ローンの設定状況や、事業性の不動産の場合、根抵当権について情報が掲載されていたりします。
一般的な住宅の場合、住宅ローンを組んだ時に「抵当権設定」と表記がされます。
また、事業を営んでおり銀行から融資を受けるための担保とする場合は「根抵当権設定」という名前で表記がされます。
これらは「登記の目的」の箇所に表示されます。
「権利者その他の事項」箇所にはどこの銀行でいくらを借りて、利息は何%、債務者はだれかかということが掲載されます。
利息に関しては掲載されない場合も多いです。
また、複数の不動産を同時に担保に入れる場合「共同担保目録」という項目と番号が記載されています。
乙区については「登記簿謄本の乙区の読み方、見方を解説 乙区がないパターンも解説」にり詳しい読み方の解説をしていますので、あわせて読んでみてください。
共同担保目録の読み方 お金を借りるときに一緒に担保に入れている不動産の情報
共同担保目録は住宅ローンなどで不動産を担保に入れる場合、複数の不動産を同時に担保に入れる場合に出てくる項目です。
具体期には一般的な住宅を購入するときに建物と土地を同時に担保に入れ、住宅ローンを組むときなどに表記されます。
乙区の欄に共同担保目録が表示されている場合は表示されます。
例えば、上記の場合、建物の共同担保目録の「記号及び番号」を土地の共同担保目録の「記号及び番号」は同じ番号が付与されています。
共同担保目録は同時に複数の不動産を担保に入れるなどの行為がないと表記されない項目です。
読み方としては非常に複雑でほかの項目はその登記簿謄本内を読み直せば読み込めますが、共同担保目録はほかの地番や家屋番号の登記簿謄本を横断することが前提となってきます。
共同担保目録については「共同担保目録とは 登記簿謄本からわかりやすく見方を解説」により詳しい解説をしています。
信託目録の読み方 信託の目的や管理方法などが掲載されている情報
信託目録はその建物や土地が信託されている場合のみに表記される目録です。
信託とはざっくり説明すると「不動産を売却や相続するわけではないけど、売却したり、賃貸の運営などは任せるよ」という意味合いです。
その信託する目的や具体的な管理方法や信託の期間の終わりなどが掲載されています。
信託目録については「信託目録についてわかりやすく解説 登記事項証明書、登記簿謄本に記載されている時の読み方」でより詳しい解説をしているのであわせて読んでみてください。
登記簿謄本を読むために知っておいたほうがよいこと
登記簿謄本の読み方の概要については上記で解説しましたが登記簿謄本を読むためにはいくつかポイントがあります。
実務で利用する場合も重要なポイントです。
登記簿謄本の所在は地番や家屋番号で住所はない
登記簿謄本で表記されている所在は地番や家屋番号とあわせて一つの住所のような情報になります。
「〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目」までは住所も所在も共通の読み方です。
しかし、住所の「1-1」が地番や家屋番号だと「123-45」のような表記になることがあります。
これは上記の「表題部の読み方」でも解説していますが、住所と地番・家屋番号は別レイヤーになっていることが原因です。
一般の方は住所に慣れているため地番や家屋番号に驚きや混乱を覚えるかもしれませんが、「地番や家屋番号は住所のような番号」として覚えるのが読み方としてのポイントです。
なお、土地の場合が地番で建物の場合が家屋番号です。
住所から地番へ変換するのはゼンリンが発売しているブルーマップで調べるか、登記情報提供サービスが提供している地番検索システムで検索すると簡単にわかります。
地番検索システムの利用方法については「地番検索サービスが非常に便利 使い方や注意点ついて」に図解付きで分かりやすく掲載しているので読んでみてください。
一つの住宅でも複数の登記簿謄本を読む必要がある
登記簿謄本はあくまで書面上の区切り方で区切った登記情報です。
そのため、一見一つの土地に見えても登記簿謄本上では複数の土地として登記されていることもあります。
また、建物が階数ごとで登記されていたり、一つの敷地内に住宅と藏が建っている場合、住宅と藏にそれぞれ登記が入っていることが多いです。
すべての登記簿謄本について調べる場合、土地の場合は公図と呼ばれる地図から対象の物件が複数筆で成り立っているのかを確認するのがおすすめです。
建物の場合、マンションなどの区建てについては、一筆取得してみるとマンション全体の家屋番号が表記されています。
また、戸建ての藏などに関しては、法務局に電話して聞くか登記情報提供サービスで同じような家屋番号が存在しないか調べてみるのが無難だと思います。
また、共同担保目録から読み解くのも方法だと思います。
いずれにしろ登記簿謄本を読むときに複数筆にまたがることは多々あるので、しっかりと対象筆を確認して読んでみてください。
登記簿謄本をより読みやすくする方法
登記簿謄本の読み方を解説しましたが、複雑な登記簿謄本については非常に難解で読みにくいものです。
しかしながらより読みやすくする方法もあります。
以下方法で取得すると情報が読みやすくなると思うので参考にしてみてください。
現在の不動産の所有者と持ち分がわかればよい 所有者事項
所有者事項は登記情報提供サービスで取得できる登記情報です。
不動産の所有者の名前、住所、持ち分のみが表示された一覧表です。
持ち分とは「保有する権利の割合」です。
過去の所有者が表記されないので、現在の所有者のみをわかりやすく表示され非常に読みやすいです。
また、フォーマット自体も項目にあわせ読みやすいようになっています。
現在有効な情報がわかればよい 現在事項証明書
現在事項証明書は登記簿謄本の中で現在有効な箇所のみ抽出した登記簿です。
言い方を変えると「抹消登記された下線部分を取り除いた登記簿」です。
古い建物や利権関係が複雑な登記簿謄本を読むのは非常に難解ですが、この現在事項証明書があれば非常にわかりやすく明快になるのでおすすめです。
登記簿謄本の読み方について 建物土地登記の違いや表題部甲区乙区共同担保目録について解説のまとめ
登記簿謄本は読み方が難しい書類です。
登記簿謄本は不動産登記と法人登記に大きく分けられますが、この記事では不動産登記の登記簿謄本について詳しく解説しました。
不動産登記簿謄本の中にも建物、区建、土地と分けることができ各項目の読み方が異なってきます。
共通している点としては、登記簿謄本は表題部、甲区、乙区、共同担保目録に分かれておりそれぞれ意味している事柄が異なっています。
表題部は「不動産のスペック情報」、甲区は「所有者の情報」、乙区は「住宅ローンや法人の融資枠など抵当権などについての情報(所有者以外の情報)」、共同担保目録は「金を借りるときに一緒に担保に入れている不動産の情報」です。
登記簿謄本と登記事項証明書は掲載されている内容は同じなので、読み方は同じです。
読み方のポイントしては、「上から下に時系列が流れる」「下線は抹消されており現在有効ではない」などを抑えておくと読みやすいでしょう。
これら点に注意して登記簿謄本を読んでみてくださいね。
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