マイホームの購入や相続、あるいは今住んでいる家のリフォームや売却を考えるとき、「この建物はどんな構造なんだろう?」と気になったことはありませんか?建物の構造は、その耐震性や耐久性、さらには資産価値にも大きく関わる重要な情報です。
木造なのか、それとも鉄筋コンクリート造なのか。
こうした建物の構造を正確に知るための、最も信頼できる情報源の一つが「登記簿」です。
この記事では、建物の構造を登記簿謄本(登記事項証明書)で確認する具体的な方法から、なぜ登記簿の情報が重要なのか、そしてどのように登記簿を取得すれば良いのかまで、分かりやすく丁寧にご説明します。
ご自身の建物の構造を知りたいと考えている方はもちろん、不動産に関わる情報を正確に把握したい方も、ぜひ最後までお読みください。
建物の構造を知りたい!なぜ登記簿で確認するの?
構造が建物の価値や安全性にどう影響するか
建物の構造は、その建物がどれくらいの地震や風に耐えられるか、どれくらいの期間使い続けられるかといった、基本的な性能に深く関わっています。
例えば、地震が多い日本では、建物の耐震性は非常に重要な要素です。
一般的に、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、木造や軽量鉄骨造に比べて地震に強いとされています。
もちろん、同じ構造であっても、建築された年代や設計、施工方法によって耐震性能は異なりますが、構造は建物の基本的な骨格を決定づけるものなのです。
また、建物の構造は、遮音性や断熱性といった快適性にも影響を与えます。
さらに、不動産としての資産価値を評価する際にも、構造は重要な判断材料となります。
例えば、耐久性の高い構造であれば、長期的に安定した価値を維持しやすいと考えられます。
建物の構造を知ることは、その建物の安全性や快適性、そして将来的な資産価値を理解する上で、避けて通れない第一歩なのです。
登記簿が構造確認の確実な情報源である理由
建物の構造を知る方法はいくつかありますが、その中でも特に信頼性が高いのが登記簿謄本(現在は登記事項証明書と呼ばれます)を確認する方法です。
なぜなら、登記簿は法務局が管理している公的な記録であり、建物の新築時や増改築時に届け出られた情報に基づいて作成されているからです。
建物が完成すると、所有者は法務局に建物の表示に関する登記を申請します。
この申請の際には、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが記載されます。
特に「構造」欄に記載される情報は、建築確認申請を経て建てられた建物であれば、建築基準法に基づいて届け出られた構造が記載されているため、非常に正確性が高いと言えます。
もちろん、登記簿の情報が常に現況と一致しているとは限りません。
例えば、登記されていない増築や改築が行われている可能性もゼロではありません。
しかし、少なくとも建物が登記された時点での正式な構造を知る上で、登記簿は最も信頼できる公的な記録なのです。
不動産取引や相続など、正確な情報が求められる場面では、まず登記簿を確認することが基本となります。
登記簿以外にも構造を知る手がかりはある?
登記簿謄本は建物の構造を知る上で最も確実な方法ですが、それ以外にも構造を知る手がかりはいくつか存在します。
例えば、建物の外観や内装からある程度の構造を推測できる場合があります。
壁を軽く叩いてみて、響くようなら木造の可能性があるなど、簡単なチェックもできます。
しかし、見た目だけで構造を正確に判断するのは非常に難しく、特にリフォームなどで内装が変わっている場合は、素人判断は危険です。
より確実な情報としては、建築確認済証や検査済証、設計図書などが挙げられます。
これらの書類は、建物が建築基準法に適合していることを証明するもので、建物の構造に関する詳細な情報が記載されています。
これらの書類が手元にあれば、登記簿と合わせて確認することで、より正確な情報を得ることができます。
ただし、これらの書類は紛失している場合も多く、必ずしも手に入るとは限りません。
また、不動産業者や建築士、インスペクター(住宅診断士)といった専門家に相談して、建物の調査を依頼することも有効です。
専門家であれば、建物の状況を詳しく調べ、構造を判断してくれます。
しかし、これらの方法は費用がかかる場合が多いです。
手軽に、かつ公的な情報として構造を確認したい場合は、やはり登記簿謄本を取得するのが最も現実的な方法と言えるでしょう。
登記簿謄本(登記事項証明書)で建物の構造を確認する具体的な方法
登記簿謄本の「建物の表示」欄を見る
いよいよ登記簿謄本で建物の構造を確認する具体的な方法について解説します。
登記簿謄本(登記事項証明書)を取得したら、まず見るべきは「建物の表示」という欄です。
この欄には、その建物に関する基本的な情報が網羅されています。
具体的には、所在(建物がある場所の地番)、家屋番号(建物に付けられた番号)、種類(居宅、店舗、共同住宅など)、構造、床面積、そして登記された原因及び日付などが記載されています。
この中で、まさに知りたい情報が記載されているのが「構造」の項目です。
この「構造」欄には、その建物の主要な構造、屋根の種類、そして階数が記載されています。
例えば、「木造瓦葺2階建」といった形で記載されています。
この記載を読み解くことで、建物の骨組みが木でできているのか、鉄骨なのか、あるいはコンクリートなのか、そして屋根材の種類や建物の階数が分かります。
登記簿の記載は、不動産登記法という法律に基づいて定められた形式で行われており、使われる用語や記載方法には一定のルールがあります。
そのため、記載されている内容を正しく理解することが重要です。
構造を示す記載例と読み解き方(木造、鉄骨造、RC造、SRC造など)
登記簿謄本に記載される「構造」の項目は、一般的に「〇〇造〇〇葺〇〇建」という形式で記載されます。
最初の「〇〇造」の部分が、建物の主要な構造を表しています。
代表的な記載例とその意味は以下の通りです。
木造(W造):主要な構造部分が木材でできている建物です。
戸建て住宅に多く見られます。
鉄骨造(S造):主要な構造部分が鉄骨(H形鋼など)でできている建物です。
比較的大きな建物や倉庫、工場などに多く使われます。
重量鉄骨造と軽量鉄骨造がありますが、登記簿上は単に「鉄骨造」と記載されることが多いです。
鉄筋コンクリート造(RC造):主要な構造部分が、鉄筋を組んでからコンクリートを流し込んで一体化させたものでできている建物です。
マンションやビル、公共施設などによく用いられ、耐震性や耐火性に優れています。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造):鉄骨の柱や梁の周囲に鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで一体化させた構造です。
RC造よりもさらに強度が高く、超高層ビルなどに採用されることが多いです。
登記簿上は「鉄骨鉄筋コンクリート造」と記載されます。
コンクリートブロック造(CB造):コンクリートブロックを積み上げて壁を作る構造です。
小規模な倉庫や物置などに見られますが、住宅の主要構造としては現在あまり使われません。
次に「〇〇葺」の部分は、屋根の種類を示しています。
瓦葺、スレート葺、亜鉛メッキ鋼板葺(トタンなど)、陸屋根(平らな屋根、RC造などで多い)などがあります。
最後の「〇〇建」は階数を示しており、「2階建」「平家建(1階建のこと)」などと記載されます。
例えば、「鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺平家建」とあれば、主要構造が鉄骨で、屋根はトタンなどで葺かれており、1階建ての建物であることが分かります。
このように、登記簿の「構造」欄の記載は、その建物の基本的な情報を読み解くための重要な手がかりとなります。
附属建物や増築部分の構造を確認するポイント
一つの登記簿謄本には、母屋だけでなく、離れや物置、車庫といった「附属建物」が一緒に登記されている場合があります。
また、後から増築された部分についても、登記されていれば同じ登記簿に記載されます。
これらの附属建物や増築部分についても、それぞれ独立して「構造」が記載されているのが一般的です。
例えば、母屋が「木造瓦葺2階建」であっても、附属建物として登記されている車庫が「鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺平家建」となっている、といったケースがあります。
また、既存の建物に増築を行った場合、増築部分の構造が既存部分と同じとは限りません。
例えば、木造の母屋に鉄骨造のサンルームを増築し、それが正式に登記されていれば、登記簿には増築部分の構造も別途記載されます。
したがって、登記簿謄本を確認する際は、建物の表示欄全体をよく見て、附属建物や増築部分の記載がないか、そしてそれぞれの構造がどのように記載されているかを確認することが重要です。
特に、建物の全体像を把握したい場合や、将来的に増築部分を取り壊す、あるいはさらに増築を検討しているような場合には、それぞれの部分の構造を正確に把握しておくことが後々のトラブルを防ぐ上で役立ちます。
登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法と費用
オンラインで取得する「登記情報提供サービス」の利用方法
建物の登記情報を手軽に確認したい場合、オンラインで利用できる「登記情報提供サービス」が非常に便利です。
このサービスは、インターネットを通じて全国の登記情報を確認できるもので、パソコンやスマートフォンからアクセスできます。
利用には事前に登録が必要ですが、一時利用制度もあり、登録せずにその都度利用することも可能です。
サービスにログイン後、不動産の所在地や家屋番号などの情報(これらの情報は固定資産税の納税通知書などで確認できる場合があります)を入力して検索すると、該当する建物の登記情報を閲覧したり、PDF形式でダウンロードしたりできます。
このサービスで取得できるのは「登記情報」であり、法務局が発行する「登記事項証明書(登記簿謄本)」そのものではありません。
そのため、法的な証明力はありませんが、記載されている内容は登記事項証明書と全く同じです。
構造を確認する目的であれば、登記情報提供サービスの利用で十分な場合がほとんどです。
利用時間は原則として平日8時30分から21時までとなっており、休日や夜間は利用できません。
料金は情報種類によって異なりますが、建物の登記情報(全部事項)であれば、1件あたり数百円程度で取得できます。
クレジットカードやインターネットバンキングなどで支払いが可能です。
法務局の窓口や郵送で取得する方法
法的な証明力のある正式な登記事項証明書(登記簿謄本)が必要な場合は、法務局の窓口に直接行くか、郵送で申請して取得する必要があります。
全国どこの法務局でも、管轄に関係なく、全国の不動産の登記事項証明書を取得することができます。
窓口で申請する場合は、申請書に必要事項(不動産の所在地や家屋番号など)を記入し、手数料分の収入印紙を貼って提出します。
申請書は法務局のホームページからダウンロードすることも可能です。
窓口の職員に相談しながら手続きを進めることもできるので、初めての方でも比較的安心して利用できます。
郵送で申請する場合は、申請書と手数料分の収入印紙、返信用封筒(切手を貼付し宛名を記載したもの)を同封して、管轄の法務局に郵送します。
申請書に不備がなければ、数日で登記事項証明書が送付されてきます。
窓口での受付時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。
取得にかかる手数料と注意点
登記情報提供サービスを利用して登記情報を取得する場合、1件あたり数百円の手数料がかかります。
一方、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を請求する場合の手数料は、窓口での請求が1件あたり600円、オンラインでの請求で窓口交付または郵送交付を選択した場合は1件あたり480円または500円(オンライン申請後、郵送で受け取る場合は500円)となります(令和4年1月現在)。
いずれの方法でも、手数料は収入印紙で納めるか、オンラインの場合はキャッシュレス決済となります。
登記簿謄本を取得する際の注意点として、まず正確な不動産の所在地や家屋番号が必要です。
これらの情報が分からないと、目的の建物の登記簿を探すことができません。
固定資産税の納税通知書や、過去の不動産取引時の書類などに記載されていることが多いので、確認してみましょう。
また、古い建物の場合、登記簿が紙媒体のまま電子化されていない可能性もゼロではありませんが、現在ではほとんどの登記情報が電子化されています。
もし電子化されていない場合は、管轄の法務局に問い合わせる必要があります。
さらに、登記簿に記載されている情報は、あくまで登記された時点での情報です。
その後に無許可で増築や改築が行われた場合、登記簿上の構造と現況が異なる可能性も考えられます。
特に古い建物や、過去に大規模なリフォームが行われているような場合は、登記簿の情報だけでなく、可能であれば現況を確認したり、専門家に見てもらったりすることも検討すると良いでしょう。
まとめ
建物の構造は、その安全性や耐久性、さらには資産価値にも関わる非常に重要な情報です。
木造や鉄筋コンクリート造など、様々な構造がありますが、これらの構造を正確に知るための最も信頼できる公的な情報源が「登記簿謄本(登記事項証明書)」です。
登記簿謄本の「建物の表示」欄にある「構造」の項目を見れば、建物の主要な構造、屋根の種類、階数が記載されています。
記載されている「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」といった用語の意味を理解することで、建物の基本的な骨組みがどのような材質でできているのかを正確に把握することができます。
附属建物や増築部分についても、それぞれ構造が記載されている場合があるので、注意深く確認することが大切です。
登記簿謄本は、オンラインの登記情報提供サービスを利用すれば手軽に情報を確認でき、法務局の窓口や郵送で申請すれば法的な証明力のある登記事項証明書を取得できます。
それぞれ手数料がかかりますが、建物の重要な情報を得るための確実な方法です。
ただし、登記簿の情報はあくまで登記された時点のものであり、現況と異なる可能性もゼロではありません。
必要に応じて他の資料を確認したり、専門家に相談したりすることも視野に入れながら、ご自身の建物の構造を正しく理解し、安心して不動産に関わる判断を進めてください。
