
登記簿謄本を取得しようとしたときオンラインで簡単に取得できる方法として登記情報提供サービスというサービスがあります。
法務局に行かずとも登記の内容が確認できるサービスですが利用方法に癖があり難しい点や気を付けるべき点が多数あります。
今回は登記情報提供サービスで登記簿謄本を取得する方法や気を付けるべき点について解説したいと思います。
Contents
登記情報提供サービスは民事法務協会が運営している登記情報がとれるサービス
登記情報提供サービスは一般財団法人民事法務協会が運営している登記情報を取得できるサービスです。
登記情報とは登記簿謄本とは内容が同じですが、法務省の捺印がされておらず、裁判など公的な機関では利用できないものの一般的に広く普及している情報です。
内容としては登記簿謄本と全く同じ内容の他、必要最低限の所有者の名前や住所が取得できる所有者事項などさまざまな種類の登記情報が取得できます。
また、登記情報提供サービスで取得した登記情報を登記簿謄本と同じように利用できる行政サービスや企業も多くあるので、実質登記簿謄本と同じような働きで利用できます。
登記情報提供サービスの利用の仕方
登記情報提供サービスは登記簿謄本と同じ内容の登記情報を取得できますが、聞きなれない言葉や独特の画面設計のため、慣れないと利用しにくいところがあります。
また、全部事項だけではなく、所有者事項や公図など様々な書類を取得できるため何が必要なのかをしっかりと判断する必要があります。
一時利用と個人利用何が違う?
個人で登記情報を取得されるときには一時利用と個人利用があります。
以前は個人利用しかなかったものの個人利用を開始するには費用や手間がかかっていたため、一時利用が新しく開設されました。
違いとしては以下などです。
内容 | 一時利用 | 個人利用 |
アカウントの開設期間 | 即時 | 1週間程度 |
アカウント開設費用 | 無料 | 300円 |
全部事項の価格 | 334円 | 334円 |
一度に取得できる登記情報の数 | 複数筆可能 | 複数筆可能 |
登記情報尾取得できる回数 | 1度のみ | 何度でも可能 |
個人利用の場合、何度でも登記情報の取得ができますが、アカウントの開設までに1週間程度時間がかかりかつ初期費用に300円費用が発生します。
一方、一時利用の場合、アカウント開設の手間こそありますが、即時アカウントが開設され開設費用は無料です。
しかしながら登記情報の取得は1度しかできず、2回目以降は登記情報の取得ができません。
不動産の売買などで一度きりの利用や急ぎで登記情報を確認したいということであれば一時利用がおすすめですが、個人利用でありながら定期的に登記情報を取得する可能性がある場合、最初時間がかかりますが、個人利用のアカウントのほうが利用しやすいでしょう。
登記情報提供サービスの料金
登記情報の料金に関しては、登記情報の種類によって価格が変わってきます。
不動産登記情報に関して価格は以下になります。
種類 | 価格 |
全部事項 | 334円 |
所有者事項 | 144円 |
地図 | 364円 |
土地所在図/地積測量図 | 364円 |
地役権図面 | 364円 |
建物図面/各階平面図 | 364円 |
一般的に登記簿謄本と呼ばれているものは全部事項になります。
登記簿謄本と全部事項の違いは捺印がされているかいないかの違いで公的な機関で利用ができるかできないかの違いです。
記載されている項目は同じです。
所有者事項は特定の地番、家屋番号の所有者の名前、住所、持ち分が記載されています。
所有者事項については「所有者事項とは何?見本や料金、全部事項証明書や登記事項要約書の違いを解説」に詳しく解説しています。
登記情報提供サービスのログイン方法
ログイン方法は、アカウント開設後に以下URLからログインができます。
一時利用の場合、初回ログインはアカウント開設時に送られてくるメール上に掲載されています。
2回目以降のログインに関しては、個人利用と同じく以下URLから登記情報サービスにログインができます。
登記情報提供サービスの利用できる時間
登記情報提供サービスは24時間365日利用できるわけではありません。
利用できるのは平日午前8時30分から午後9時までです。
また、土曜日、日曜日、祝日は利用できず、年末年始の12月29日から1月3日までも利用ができません。

利用時間が限られているため、夜9時過ぎに利用しようと思っていると取得済みの登記情報の閲覧すらできなくなってしまうので、注意が必要です。
登記情報提供サービスを利用する場合、登記情報のダウンロードを含め夜9時までに行いましょう。
利用できない時間に登記情報提供サービスにアクセスするとログインボタンは以下のようになっています。

登記情報提供サービスを利用するときの注意
登記情報提供サービスを利用する場合注意しなければならないことがいくつかあります。
この点を知らずに登記情報が取得できない、取得したもののダウンロードできないなどのトラブルが発生するかもしれません。
公式な登記簿謄本として利用できないこともある
登記情報は正式な登記簿謄本ではありません。
正式な登記簿謄本を取得するには法務局で取得を行うか『登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと/供託ねっと」』を利用しオンライン申請するか、行政書士等に依頼するかになります。
しかしながら、内容自体は正しい情報が掲載されているため現在登記情報提供サービスで取得した登記情報でも登記簿謄本と同じように利用できる行政機関も多数あります。
例えば、東京都立川市では「照会番号と発行年月日が入った登記情報であれば可能」となっています。
捺印がないと効力がないというのは何とも時代に逆流していますが、登記情報でも今後はより登記情報が登記簿謄本の代わりになってくると思います。
なお、登記・供託オンライン申請システムで登記簿謄本(登記事項証明書)を取得したい場合、「登記簿謄本(登記事項証明書)をオンラインで取得する方法 日数やスマホは可否についても」を読んでいただければ取得方法が詳しく解説しています。
該当なしなど登記情報を取得できないこともある
登記情報提供サービスで登記情報を取得しようとすると「該当なし」などのエラーになってしまうことがあります。
理由は様々ですが、以下などが該当なしエラーになる原因の代表的な例です。
登記の申請中
登記簿の内容を法務局が更新している最中だと登記簿謄本を含めて登記情報を取得できません。

この場合「請求のあった登記情報は、登記事件の処理中です。」と表示がされません。
「登記事件」とは物騒な名前ですが、登記の内容を更新している最中という意味です。
いつになったら登記事件がなくなり通常通り登記情報や登記簿謄本がとれるかはわからないので、こまめにチェックをする必要があります。
そもそも地番や家屋番号が間違っている

地番や家屋番号が間違っており直接取得画面で地番や家屋番号を入力した場合、取得結果にエラー表示がされます。

地番・家屋番号一覧の画面で誤った地番や家屋番号を入力した場合はその場でエラー表示がされますが、直接入力した場合は取得を試みたのちに初めてわかります。
登記情報が複雑で容量が大きすぎる
「全部事項及び所有者事項の請求に係る情報量が1メガバイトを超えるもの,地図及び各種図面を請求する場合に,請求に係る情報量が3メガバイトを超える登記情報は,サービスの対象外です。」と表示され登記情報を取得できない場合があります。
大規模マンションなどの登記情報を取得する場合、発生する可能性があります。
この場合はあきらめて法務局などで登記簿謄本の原本を取得するほかありません。
登記情報をダウンロードできる期間が短い
登記情報ですが、登記情報提供サービスで取得した後にアカウント内でダウンロードする必要があります。
ダウンロードは2日間しかできずその後はダウンロードができません。
再度ダウンロードが必要な場合はもう一度同じ登記情報を購入しなければならず余計な費用が発生してしまいます。
そのため、登記情報を取得したらまず自分のパソコンにデータをダウンロードする癖をつけるようにしましょう。