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建物の構造を理解するための登記簿の読み方解説

「この建物はどんな構造なんだろう?」そう思ったとき、どこを見れば確実な情報が得られるかご存知ですか?実は、建物の構造を知るための有力な手がかりの一つに「登記簿謄本」があります。
登記簿謄本と聞くと、なんだか難しそう…と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、建物の構造を理解するための登記簿の読み方解説を知っていれば、意外と簡単に必要な情報を見つけ出すことができるのです。
この記事では、あなたが知りたい建物の構造が登記簿のどこに記載されているのか、そしてそこに書かれた内容が何を意味するのかを、初心者の方にも分かりやすく丁寧にご説明します。
建物の購入や売却、リフォームを検討されている方はもちろん、ご自身の住んでいる建物のことをもっと深く知りたい方も、ぜひ最後までお読みください。

目次

建物の構造を登記簿で知る目的とその重要性

建物の構造は、その建物の安全性、耐久性、そして資産価値に大きく関わる非常に重要な情報です。
例えば、地震に強いと言われる構造もあれば、防音性に優れている構造もあります。
また、将来的なリフォームや増改築の可能性も、構造によって大きく左右されることがあります。
不動産取引においては、買主にとって建物の構造は購入判断の大きな材料となりますし、売主にとっても正確な構造情報を伝えることは信頼関係を築く上で不可欠です。

では、なぜ建物の構造を登記簿で確認することが重要なのでしょうか?それは、登記簿謄本に記載されている情報は、法的に証明された公的な情報だからです。
建築確認申請を経て建物が建てられた際に、その構造が登記簿の「表題部」に記録されます。
もちろん、建築確認申請書や設計図書など、建物の構造に関するより詳細な情報源は他に存在しますが、登記簿謄本は比較的容易に取得でき、建物の基本的な構造種別を把握するための最初のステップとして非常に有効なのです。

特に、古い建物の場合、建築確認申請書などの書類が手元に残っていないことも少なくありません。
そのような場合でも、登記簿謄本を取得できれば、少なくとも新築当時の構造情報を確認することができます。
これにより、現在の建物の状態と比較検討したり、専門家への相談の糸口にしたりすることが可能になります。
建物の構造を正しく理解することは、その建物の「素顔」を知ることであり、賢い不動産判断や、より安全で快適な暮らしを実現するための第一歩と言えるでしょう。

そもそも登記簿謄本とは?建物の構造を知る理由

登記簿謄本とは、不動産(土地や建物)に関する様々な情報が記録された公的な書類です。
これは法務局に保管されており、誰でも手数料を支払えば取得することができます。
登記簿謄本には、その不動産がどこにあって、どのような形状をしているかといった物理的な情報や、誰が所有しているか、どのような権利(抵当権など)が設定されているかといった権利に関する情報が記載されています。
例えるなら、土地や建物の「戸籍謄本」や「履歴書」のようなものです。

建物の登記簿謄本は、主に「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」の三つのパートに分かれています。
このうち、建物の構造に関する情報が記載されているのは「表題部」です。
表題部には、所在、家屋番号、種類(居宅、店舗など)、構造、床面積、原因及びその日付などが記録されています。

私たちが建物の構造を知りたいと考えるのは、主に以下のような理由からです。

  • 安全性の確認:耐震性や耐久性は構造によって大きく異なります。
    特に地震が多い日本では、建物の構造は非常に重要な関心事です。
  • 資産価値の把握:構造は建物の寿命や維持コストに関わるため、資産価値を判断する上で考慮すべき要素です。
  • リフォームや増改築の可能性:構造によって、壁を取り払うなどの間取り変更や、増築の可否、工事費用などが変わってきます。
  • 不動産取引の安心:購入する建物の構造を正確に知ることで、安心して取引を進めることができます。
    売却する際も、買主からの信頼を得やすくなります。
  • 固定資産税の理解:構造は固定資産税評価にも影響を与える要素の一つです(評価基準は複雑ですが、構造も加味されます)。

このように、建物の構造を知ることは、単なる興味だけでなく、実生活や経済的な判断において非常に重要な意味を持つのです。
そして、その基本的な情報を手軽に確認できるのが登記簿謄本なのです。

登記簿謄本のどこを見れば構造がわかるのか

建物の登記簿謄本を取得したら、まずは「表題部」を探してください。
登記簿謄本は通常、上から順番に表題部、権利部(甲区)、権利部(乙区)という構成になっています。
建物の種類や床面積といった物理的な情報がまとめられているのが表題部です。

表題部の中には、いくつかの項目が設けられています。
具体的には、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「原因及びその日付」「受付年月日・受付番号」といった欄があります。
これらの項目が、その建物の基本的な情報を表しています。

この中で、私たちが探している建物の構造が記載されているのは、その名の通り「構造」という欄です。
この構造欄には、建物の主要な構造(木造、鉄骨造など)、屋根の種類(瓦葺、スレート葺など)、そして階数(平家建、2階建など)が記載されています。
例えば、「木造瓦葺2階建」や「鉄骨造陸屋根3階建」、「鉄筋コンクリート造スレート葺5階建」といった形で表記されています。

ただし、建物の築年数や増改築の履歴によっては、登記簿上の構造表記が現在の建物の状態と完全に一致しない場合があることには注意が必要です。
例えば、後から増築や改築が行われた場合、その変更登記がされていないこともあり得ます。
また、登記簿の様式も時代によって少しずつ変化しています。
しかし、少なくとも新築時または最後に登記された時点での正式な構造情報は、この表題部の「構造」欄に記録されています。
まずはこの欄を確認することが、建物の構造を理解するための最初のステップとなります。

登記簿謄本「表題部」の読み方:構造欄を徹底解説

登記簿謄本の表題部にある「構造」欄は、建物の骨格や主要な材料、そして形状の一部を示す重要な情報源です。
この欄を正しく読み解くことで、その建物がどのような工法で建てられているのか、おおよその強度はどの程度か、といった基本的な性質を推測することができます。
しかし、単に「木造」「鉄骨造」といった言葉が書いてあるだけでなく、そこには屋根の種類や階数も併記されています。
これらの情報が組み合わさることで、建物の全体像がより具体的に見えてくるのです。

例えば、「木造瓦葺2階建」とあれば、主要構造部は木材でできており、屋根は瓦、そして地上2階建ての建物であることがわかります。
これが「鉄筋コンクリート造陸屋根10階建」であれば、主要構造部は鉄筋コンクリートでできており、屋根は平らな陸屋根、地上10階建ての建物であると判断できます。
このように、構造欄の表記は、建物の種類、屋根の種類、階数という3つの要素で構成されているのが一般的です。

この構造欄を読み解く上で大切なのは、そこに記載されている情報が、原則として建物が新築された際、または増改築などで変更登記が行われた時点での情報であるということです。
そのため、登記簿上の構造表記が必ずしも現在の建物の状態を100%正確に表しているとは限らないことを理解しておく必要があります。
しかし、それでも、建物の基本的な仕様を知る上では非常に信頼性の高い情報源であることに変わりはありません。

また、古い登記簿謄本の中には、現在とは異なる表現が使われている場合や、より詳細な(あるいは逆に簡略化された)表記になっている場合もあります。
そのため、もし読み方に迷うことがあれば、専門家(土地家屋調査士や建築士など)に相談してみるのも良いでしょう。
しかし、基本的な構造種別を示す表記は共通しているため、これから解説する主要な構造表記の意味を理解しておけば、ほとんどのケースで建物の骨格を把握することができます。

構造欄に記載される建物の種類と構造表記

登記簿謄本の「構造」欄には、建物の主要な構造を示す言葉が記載されています。
最も一般的な構造種別としては、以下のものが挙げられます。

木造(W):主要な構造部材(柱、梁、壁など)に木材が使われている構造です。
日本の伝統的な住宅に多く見られます。
登記簿上では「木造」と表記されることが多いですが、略号として「W」が使われることもあります(登記簿謄本そのものに略号が記載されるわけではありませんが、不動産業界などでは慣習的に使われます)。

鉄骨造(S):主要な構造部材にH形鋼や軽量鉄骨などの鋼材が使われている構造です。
工場や倉庫、中高層のビルなどに多く見られます。
登記簿上では「鉄骨造」と表記されます。
略号は「S」です。

鉄筋コンクリート造(RC):鉄筋を組んで型枠にコンクリートを流し込んで一体化させた構造です。
マンションやオフィスビル、学校などに多く見られます。
耐震性や耐火性に優れています。
登記簿上では「鉄筋コンクリート造」と表記されます。
略号は「RC」です。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC):鉄骨の柱や梁の周囲に鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで一体化させた構造です。
鉄骨造と鉄筋コンクリート造の利点を組み合わせた構造で、高層建築物によく用いられます。
登記簿上では「鉄骨鉄筋コンクリート造」と表記されます。
略号は「SRC」です。

これらの主要構造に加えて、屋根の種類(瓦葺、スレート葺、亜鉛メッキ鋼板葺、陸屋根など)や階数(平家建、2階建、地下1階付2階建など)が併記されます。
例えば、「木造瓦葺2階建」は、木造で瓦屋根の2階建て、「鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根11階建」は、SRC造で陸屋根の11階建て、といった具合に読み取ります。

構造欄の表記は、その建物の基本的な頑丈さや、建築時に想定された用途などを推測する上で非常に役立ちます。
特に、初めて見る建物の登記簿謄本を読む際には、まずこの構造欄をチェックすることで、その建物の大まかな特徴を掴むことができるでしょう。

登記簿上の構造表記「W」「S」「RC」「SRC」が示すもの

登記簿謄本の構造欄には、前述のように「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」といった正式名称が記載されるのが一般的です。
しかし、これらの構造種別は、不動産業界や建築業界では略号で呼ばれることが多く、それぞれの略号が建物の性質を端的に表しています。

「W」はWood(木材)を意味し、木造を示します。
木造は、比較的軽量で建築コストを抑えやすいという特徴があります。
また、設計の自由度が高く、増改築が行いやすいという側面もあります。
断熱性や調湿性に優れていることから、日本の気候風土に適した構造として古くから用いられています。
ただし、大規模建築や高層建築には不向きとされています。

「S」はSteel(鋼)を意味し、鉄骨造を示します。
鉄骨造は、木造に比べて強度が高く、柱や梁の間隔を広く取れるため、広い空間を作りやすいという特徴があります。
工場や倉庫、店舗など、大空間が必要な建物によく採用されます。
耐震性にも優れていますが、熱に弱く、火災時には強度が低下しやすいという性質があります。
そのため、耐火被覆などの対策が必要となります。

「RC」はReinforced Concrete(鉄筋コンクリート)を意味し、鉄筋コンクリート造を示します。
鉄筋コンクリート造は、圧縮に強いコンクリートと引張に強い鉄筋を組み合わせた構造で、非常に高い強度と耐久性、耐火性、遮音性を持ちます。
マンションやオフィスビルなど、中高層の建物に広く用いられています。
設計の自由度も比較的高いですが、重量が重く、建築コストは木造や鉄骨造に比べて高くなる傾向があります。

「SRC」はSteel Reinforced Concrete(鉄骨鉄筋コンクリート)を意味し、鉄骨鉄筋コンクリート造を示します。
これは、鉄骨で骨組みを作り、その周囲に鉄筋を配してコンクリートを打設する構造です。
鉄骨の粘り強さと鉄筋コンクリートの強度・剛性を兼ね備えており、超高層ビルなど、特に高い強度や耐震性が求められる建物に採用されます。
非常に頑丈な構造ですが、建築コストは最も高くなります。

これらの略号を知っておくと、不動産の広告や資料などで建物の構造が略記されている場合でも、すぐにその意味を理解できるようになります。
登記簿謄本には正式名称が記載されていますが、それぞれの構造が持つ基本的な性質を合わせて理解しておくことで、登記簿の情報から建物の特徴をより深く読み解くことができるでしょう。

「原因及びその日付」から推測できること

登記簿謄本の表題部には、「原因及びその日付」という欄があります。
この欄には、その登記が行われた原因とその日付が記載されています。
建物の登記簿謄本の場合、多くの場合、この欄には「新築 〇年〇月〇日」と記載されています。
これは、その建物が完成し、新しく登記された日を示しており、一般的に建物の「築年月日」として扱われます。

なぜこの欄が建物の構造を理解する上で重要なのでしょうか?それは、建物の構造は、建築された時点の建築基準法や技術水準の影響を強く受けているからです。
例えば、耐震基準は過去に何度か改正されています。
特に1981年(昭和56年)6月1日に施行された「新耐震基準」は、震度6強から7程度の揺れでも倒壊しないことを目指した基準であり、それ以前の「旧耐震基準」で建てられた建物とは耐震性が大きく異なります。
したがって、「原因及びその日付」欄に記載された日付が1981年6月1日よりも前か後かを知ることは、その建物がどの耐震基準に基づいて建てられたのかを推測する上で非常に重要な情報となります。

また、この欄には新築だけでなく、「増築」「改築」「滅失」といった登記原因が記載されることもあります。
例えば、「増築 〇年〇月〇日」と記載されていれば、その日付で建物が増築されたことがわかります。
増築された部分の構造が、元の建物の構造と異なる場合も考えられます。
その場合、登記簿の「構造」欄や「床面積」欄も変更されているはずです。
このように、原因及びその日付欄を見ることで、その建物の履歴の一部を知ることができ、現在の構造や状態がどのように形成されてきたのかを推測する手がかりを得ることができます。

ただし、増築や改築が行われても、必ずしも変更登記がされているとは限りません。
未登記の増築部分などは、登記簿謄本には反映されていません。
そのため、登記簿の情報だけで建物の全てを判断するのではなく、必要に応じて現地調査や専門家による診断を行うことの重要性を認識しておく必要があります。
しかし、「原因及びその日付」欄は、建物の築年数や大きな変更履歴を知るための基本的な情報として、構造情報と合わせて確認すべき重要な項目です。

登記簿から読み解く建物の構造:種類ごとの特徴と見分け方

登記簿謄本の構造欄に記載されている主要な構造種別、すなわち木造(W)、鉄骨造(S)、鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)は、それぞれ異なる特徴を持っています。
これらの特徴を理解することで、登記簿上の表記から、その建物がどのような性質を持っているのか、より具体的にイメージすることができるようになります。
単に文字を追うだけでなく、それぞれの構造が持つ特性を頭に入れながら登記簿を読むことで、得られる情報の価値は何倍にも膨れ上がります。

例えば、あなたが購入を検討している戸建て住宅の登記簿謄本に「木造瓦葺2階建」と記載されていたとします。
木造の特徴として「軽量」「比較的安価」「設計の自由度が高い」といった点が挙げられます。
これを知っていれば、「この家はリフォームしやすいかもしれない」「建築コストは抑えられているだろう」といった推測ができます。
一方で、木造は大規模な建物や高層建築には向かない、といった限界も理解しておけば、「この建物は大規模なマンションのような造りではない」といった当たり前の確認もできます。

また、マンションの登記簿謄本を見て「鉄筋コンクリート造陸屋根10階建」と記載されていた場合、RC造の「高い強度」「優れた耐火性・遮音性」「重量が重い」といった特徴から、「頑丈で外部の音が聞こえにくいだろう」「建物自体の重さがかなりあるだろう」といったことが想像できます。
これは、住み心地や将来的な修繕計画などを考える上で参考になる情報です。

このように、登記簿上の構造表記は、単なる記号ではなく、建物の物理的な性質やポテンシャルを示す手がかりなのです。
それぞれの構造がどのような材料でできていて、どのような工法が用いられているのか、その構造が一般的にどのようなメリット・デメリットを持っているのかを知っておくことで、登記簿謄本から得られる情報をより深く、そして実践的に活用することができるようになります。

木造(W)の特徴と登記簿情報

木造は、日本の住宅において最も一般的な構造です。
主要な構造部材に木材を使用しています。
登記簿謄本では、構造欄に「木造」と記載されています。
屋根の種類としては、瓦葺、スレート葺、亜鉛メッキ鋼板葺などが併記されることが多いです。
階数も合わせて記載されます。

木造の大きな特徴は、まず比較的安価で建築できる点です。
木材は加工しやすく、日本の気候にも適しています。
また、軽量であるため、地盤への負担が比較的少ないというメリットもあります。
増改築が比較的容易であることも、木造住宅が多い理由の一つです。

しかし、木造にもデメリットはあります。
RC造やSRC造に比べて、一般的に耐火性や遮音性は劣ります。
また、シロアリ被害や腐朽のリスクも存在するため、適切なメンテナンスが重要になります。
耐震性については、現在の建築基準法では木造でも十分な耐震性を確保することが可能ですが、旧耐震基準で建てられた古い木造住宅の場合は、耐震診断や補強が必要となるケースが多いです。

登記簿謄本で木造と確認できた場合、その建物がどのような特徴を持っているのか、おおよそのイメージを持つことができます。
さらに、「原因及びその日付」欄を見て築年数を確認することで、その建物が旧耐震基準か新耐震基準のどちらで建てられたのかを推測することができ、耐震性に関する最初の判断材料とすることができます。
ただし、登記簿の情報だけでは壁の量や接合部の仕様といった詳細な耐震要素までは分かりません。
より正確な情報を得るためには、建物の図面を確認したり、専門家によるインスペクション(建物状況調査)を受けることが推奨されます。

鉄骨造(S)の特徴と登記簿情報

鉄骨造は、主要な構造部材に鋼材(H形鋼や軽量鉄骨など)を使用した構造です。
登記簿謄本では、構造欄に「鉄骨造」と記載されます。
屋根の種類としては、陸屋根や折板葺などが多く、階数も様々です。

鉄骨造の最大の特徴は、木造に比べて強度が高く、大きな空間を作りやすい点です。
柱や梁のスパン(間隔)を広く取ることができるため、広々とした無柱空間を実現できます。
そのため、工場や倉庫、体育館、店舗、あるいは柱の少ないオフィスビルなどに多く採用されます。
また、比較的軽量である軽量鉄骨造は、2階建てや3階建ての住宅やアパートにも用いられることがあります。

鉄骨造は耐震性にも優れていますが、鋼材は熱に弱いという性質があります。
火災時に鋼材が高温になると強度が著しく低下し、建物の倒壊につながる危険性があるため、建築基準法では耐火被覆を施すことが義務付けられています。
また、鋼材が錆びないように防錆処理を行う必要もあります。
木造に比べて建築コストは高くなる傾向がありますが、RC造やSRC造よりは抑えられることが多いです。

登記簿謄本で鉄骨造と確認できた場合、その建物が比較的大きな空間を持っている可能性や、工業用や商業用として設計された可能性が高いことを推測できます。
また、築年数によっては、鋼材の防錆状態や耐火被覆の状態を確認することが、建物の維持管理上重要になることを示唆しています。
鉄骨造の場合も、登記簿の情報はあくまで基本的な構造種別を示すものであり、柱や梁のサイズ、ブレース(筋交い)の配置といった詳細な構造計算に関わる情報までは分かりません。
より詳しい構造情報を得るためには、設計図書を確認したり、専門家による診断が必要です。

鉄筋コンクリート造(RC)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の特徴

鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、主に中高層以上の建物に採用される、非常に強度が高く頑丈な構造です。
登記簿謄本では、それぞれ「鉄筋コンクリート造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」と記載されます。
屋根は陸屋根が一般的で、階数も多くなります。

RC造は、引っ張りに強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートを組み合わせた構造です。
この組み合わせにより、非常に高い強度と剛性を持ちます。
耐震性、耐火性、遮音性、遮熱性にも優れており、マンションやオフィスビル、学校、病院など、様々な用途の建物に広く用いられています。
設計の自由度も比較的高く、曲線的なデザインなども実現しやすいという特徴もあります。
ただし、建物自体の重量が重くなるため、強固な地盤が必要となり、建築コストも木造や鉄骨造に比べて高額になります。

SRC造は、RC造の内部に鉄骨の柱や梁を組み込んだ構造です。
鉄骨の粘り強さとRC造の強度・剛性を兼ね備えており、RC造よりもさらに高い強度と耐久性を持ちます。
主に超高層ビルや大規模建築物など、特に高い耐震性や強度、あるいは厳しい構造計算が求められる建物に採用されます。
非常に頑丈な構造ですが、建築コストは最も高くなります。

登記簿謄本でRC造やSRC造と確認できた場合、その建物が非常に頑丈で、耐震性や耐火性、遮音性に優れている可能性が高いことを示唆しています。
これらの構造は、木造や鉄骨造に比べて建物の寿命が長い傾向にあります。
しかし、RC造やSRC造であっても、適切な施工が行われているか、経年劣化によるひび割れや鉄筋の錆びなどが発生していないかといった、実際の建物の状態は登記簿からは分かりません。
特に古い建物の場合、コンクリートの中性化や劣化が進んでいる可能性も考慮する必要があります。
登記簿の情報は建物の基本的な仕様を知る上で有用ですが、実際の状態や詳細な構造性能については、専門家による詳細な調査や診断が不可欠です。

登記簿情報から建物の構造を理解し活用する方法

ここまで見てきたように、登記簿謄本の表題部にある「構造」欄と「原因及びその日付」欄を読み解くことで、建物の基本的な構造種別と築年数を把握することができます。
これらの情報は、単に建物のスペックを知るだけでなく、その建物の特性や将来性を理解

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