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建物の構造変更登記(木造→鉄骨造)を行う際のポイント

建物の構造変更登記、特に木造から鉄骨造への変更は、人生でそう何度も経験することではありません。
大規模なリノベーションや増築、あるいは建物の用途変更を検討されている方にとって、この建物の構造変更登記(木造→鉄骨造)を行う際のポイントは非常に重要なテーマとなります。
登記と聞くと、手続きが難しそう、費用が高そう、といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
確かに専門知識が必要な場面もありますが、ポイントを押さえ、適切な準備と専門家のサポートを得ることで、スムーズに進めることが可能です。
この記事では、木造から鉄骨造への構造変更登記が必要になるケースから、具体的な手続きの流れ、費用、注意点、そして失敗しないための専門家選びまで、分かりやすく解説していきます。
最後までお読みいただければ、構造変更登記に関する不安を解消し、安心して手続きを進めるための具体的な道筋が見えてくるはずです。

目次

建物の構造変更登記とは?木造から鉄骨造への変更が必要になるケース

建物の構造変更登記とは、文字通り建物の構造を登記簿上の記録と現況に合わせて変更する手続きのことです。
建物の登記簿には、所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが記録されています。
このうち「構造」は、建物を支える柱や梁などの主要な構造材の種類(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)と、屋根の種類(瓦葺き、スレート葺きなど)、階数などが記載されています。
例えば、登記簿上は「木造瓦葺き2階建」となっている建物を、大規模な改修によって主要構造部を鉄骨造に変更し、屋根も金属板葺きにした場合などには、この構造変更登記が必要となります。
建物の物理的な状況が登記簿の記載と異なってしまった場合に、その変更を法的に反映させるための手続きなのです。

建物の構造変更登記の基本と目的

建物の構造変更登記は、不動産登記法に基づいて行われる登記の一つです。
この登記の最も基本的な目的は、不動産登記簿に記載されている建物の情報と、実際の建物の状況を一致させることにあります。
不動産登記は、その不動産がどのような状態であるかを公示することで、不動産取引の安全性を守る役割を果たしています。
例えば、建物の構造が登記簿上と異なっていると、その建物の強度や耐久性、資産価値などを正確に判断することが難しくなります。
購入希望者や金融機関、あるいは行政などが建物の情報を確認する際に、登記簿が最新の正確な情報を示していることが非常に重要となるのです。
また、構造変更登記は、増築や改築に伴って行われることが多く、これらの工事が建築基準法などの法令に適合していることを間接的に示す側面もあります。
建物の所有者にとっては、自身の財産である建物の正確な情報を記録しておくことで、将来の売却や相続、あるいは担保設定などの際にスムーズな手続きが可能となります。

木造から鉄骨造へ、どんな場合に登記が必要になるのか

木造の建物を鉄骨造に構造変更するケースは、比較的大規模なリノベーションや増築、あるいはコンバージョン(用途変更)などを行う際に発生します。
例えば、平屋の木造倉庫を2階建ての店舗兼事務所に改修する際に、より広い空間を確保するためや、耐震性を向上させるために主要な構造部を鉄骨造に全面的に変更するといった場合です。
また、既存の木造住宅に鉄骨造の大きな増築部分を接続し、一体として利用する場合にも、建物全体の構造が変更されたとみなされ、構造変更登記が必要になることがあります。
単なる内装のリフォームや、壁の一部補強といった軽微な工事では構造変更登記は不要な場合が多いですが、建物の骨組みとなる主要構造部分(柱、梁、壁、基礎など)の種類を根本的に変更するような工事を行った際には、必ず登記が必要となります。
特に木造から鉄骨造への変更は、建物の基本的な性質が大きく変わるため、登記の必要性が生じやすい典型的な例と言えるでしょう。
どのような工事が構造変更に該当するかは、建築の専門家や登記の専門家である土地家屋調査士に事前に相談することが不可欠です。

登記を怠るとどうなる?隠れたリスク

建物の構造変更登記を怠り、登記簿の情報と実際の建物の状況が異なる状態を放置すると、いくつかの隠れたリスクが発生します。
最も直接的なリスクは、法律違反状態となることです。
不動産登記法には、建物の物理的な状況に変更があった場合、所有者は1ヶ月以内にその変更登記を申請しなければならないという義務が定められています。
この義務を怠った場合、過料が科される可能性があります。
さらに、登記簿の情報が正確でないと、建物の売却や相続、贈与などの際に手続きが滞る可能性が高くなります。
買主や相続人が登記簿を確認した際に、現況と異なることに気づき、トラブルになるケースも少なくありません。
金融機関が融資の担保として建物を評価する際にも、登記簿と現況の不一致は大きな問題となり得ます。
また、火災保険や地震保険に加入している場合、登記簿上の情報と異なる構造になっていると、いざという時の保険金支払いに影響が出る可能性も否定できません。
行政からの指導や、固定資産税の評価にも影響を与える可能性があり、長期的に見ると所有者にとって多くの不利益をもたらすことになります。
構造変更を行った際には、速やかに登記手続きを行うことが、後々のトラブルを防ぎ、安心して建物を所有し続けるために非常に重要なのです。

木造から鉄骨造への構造変更登記手続きの流れと費用・期間

木造から鉄骨造への構造変更登記は、一般的な登記手続きと比較すると、建築に関する専門知識や書類が必要となるため、少し複雑に感じられるかもしれません。
しかし、全体の流れを把握し、必要な準備を進めることで、スムーズに手続きを進めることができます。
手続きは主に、必要書類の準備、登記申請書の作成、そして法務局への申請という流れで進みます。
通常、これらの手続きは建物の物理的な状況を正確に測量・調査し、法務局に提出する専門家である土地家屋調査士に依頼して行うのが一般的です。
ご自身で全てを行うことも不可能ではありませんが、専門的な知識や正確な測量・図面作成能力が求められるため、専門家へ依頼する方が確実で安心です。

登記申請の具体的な流れを追う

木造から鉄骨造への構造変更登記の具体的な流れは以下のようになります。
まず、構造変更工事が完了した後、建物の所有者は速やかに登記手続きの準備に入ります。
最初に、土地家屋調査士に依頼し、建物の測量と調査を行ってもらいます。
調査士は、建物の構造、種類、床面積、そして構造変更部分を確認し、登記申請に必要な図面(建物図面、各階平面図)を作成します。
この際、建築確認済証や検査済証など、工事に関する書類が必要となる場合がありますので、事前に準備しておくと良いでしょう。
次に、土地家屋調査士が作成した図面と、所有者から提供された必要書類(住民票など)をもとに、登記申請書を作成します。
登記申請書には、建物の表示に関する事項(構造、種類、床面積など)を変更する旨を記載します。
申請書と添付書類が揃ったら、建物の所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。
申請はオンラインで行うことも可能ですが、多くの場合は書面で提出します。
法務局での審査を経て、登記が完了すると、登記完了証が交付され、登記簿に構造変更の内容が反映されます。
この一連の流れは、専門家である土地家屋調査士が中心となって進めてくれるため、所有者自身が行う手続きは、委任状への署名捺印や必要書類の提供などが主となります。

登記にかかる費用相場と内訳

建物の構造変更登記にかかる費用は、主に登録免許税専門家(土地家屋調査士)への報酬、そしてその他実費に分けられます。
登録免許税は、登記の種類や建物の固定資産評価額などによって計算されますが、構造変更登記の場合は比較的低額であることが多いです。
具体的な税額は法務局や専門家に確認する必要があります。
費用の大部分を占めるのは、土地家屋調査士への報酬です。
この報酬額は、建物の規模や構造変更の複雑さ、測量の難易度、依頼する事務所によって異なります。
一般的には、木造から鉄骨造への全面的な構造変更を伴う場合、報酬額は10万円から30万円程度が目安となることが多いようです。
ただし、これはあくまで目安であり、建物の状況によってはこれより高くなることもあります。
報酬の内訳としては、現地調査費用、測量費用、図面作成費用、登記申請書作成費用、法務局への申請代行費用などが含まれます。
その他実費としては、各種証明書の発行手数料や、交通費などがかかる場合があります。
費用については、依頼する土地家屋調査士事務所に事前に見積もりを依頼し、内訳をしっかりと確認することが重要です。
複数の事務所から見積もりを取って比較検討するのも良いでしょう。

登記完了までの期間とスムーズに進めるコツ

建物の構造変更登記が完了するまでの期間は、法務局の混雑状況や提出書類の正確性、そして建物の状況によって変動しますが、一般的には申請から登記完了まで、1週間から2週間程度を見込んでおくと良いでしょう。
ただし、これは書類に不備がなく、法務局の審査がスムーズに進んだ場合の目安です。
提出書類に誤りがあったり、建物の調査に時間を要したりする場合には、さらに期間が長くなることもあります。
特に、建築確認申請や検査済証の取得が遅れている場合や、過去の増改築に関する記録が不明確な場合などは、手続きに時間がかかる要因となります。
構造変更登記をスムーズに進めるためのコツは、まず、工事完了後速やかに手続きを開始することです。
時間が経つと、関係書類の紛失や関係者の記憶の曖昧さなどから、手続きが煩雑になる可能性があります。
次に、信頼できる経験豊富な土地家屋調査士に依頼することです。
専門家であれば、必要な書類や手続きの流れを熟知しており、不備なく申請を進めることができます。
また、建築確認申請など、関連する行政手続きと並行して進める必要がある場合も多いため、これらの情報を土地家屋調査士と密に共有することも重要です。
事前に必要な書類を確認し、できる限り揃えておくこと、そして専門家とこまめに連絡を取り合うことが、登記をスムーズに完了させるための鍵となります。

構造変更登記の注意点と専門家選び、登記後の影響

建物の構造変更登記は、単に登記簿の内容を書き換えるだけでなく、その後の建物の利用や評価、税金などにも影響を与える重要な手続きです。
特に木造から鉄骨造への変更という大規模な改修に伴う登記では、いくつかの注意点があります。
これらの注意点を事前に把握し、適切な対策を講じることで、登記手続きを円滑に進め、後々のトラブルを防ぐことができます。
また、登記を依頼する専門家である土地家屋調査士の選び方も非常に重要です。
信頼できる専門家を見つけることが、手続きの成功を左右すると言っても過言ではありません。

登記申請でよくある落とし穴と対策

構造変更登記申請でよくある落とし穴の一つに、建築確認申請との整合性があります。
大規模な構造変更工事は、建築基準法に基づく建築確認申請が必要となる場合がほとんどです。
この確認申請の内容と、登記申請の内容(構造、床面積など)が異なっていると、法務局での審査がストップしてしまう可能性があります。
対策としては、工事完了後に取得する検査済証の内容と、土地家屋調査士が作成する登記用の図面の内容を事前に照合し、整合性を確認することが重要です。
また、過去の増改築やリフォームの履歴が不明確であることも、手続きを複雑にする要因となります。
登記簿には記載されていない過去の変更があると、現況との整合性を確認するのに時間を要したり、追加の調査が必要になったりすることがあります。
可能な限り、過去の工事に関する書類や図面を探し出し、土地家屋調査士に提供することがスムーズな手続きにつながります。
さらに、登記に必要な書類が不足していたり、記載内容に誤りがあったりすることもよくある落とし穴です。
住民票や印鑑証明書など、所有者自身が準備する書類もありますので、土地家屋調査士から指示された書類を漏れなく、正確に準備することが対策となります。
専門家と密に連携を取り、疑問点はすぐに確認することが、これらの落とし穴を避けるための最善策と言えるでしょう。

信頼できる土地家屋調査士の見つけ方

建物の構造変更登記を依頼する土地家屋調査士は、手続きの正確性とスムーズさを左右する重要なパートナーです。
信頼できる専門家を見つけるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、構造変更登記、特に木造から鉄骨造への変更といった複雑な案件の経験が豊富であるかを確認しましょう。
過去に同様の案件を扱った実績があるか、ウェブサイトや事務所に問い合わせてみるのが良い方法です。
次に、説明が丁寧で分かりやすいかも重要な判断基準です。
登記手続きは専門的な用語が多く、一般の方には理解しにくい部分も少なくありません。
疑問点に対して、専門用語を避け、かみ砕いて分かりやすく説明してくれる調査士であれば、安心して任せることができます。
また、見積もり内容が明確であるかも確認すべきポイントです。
報酬の内訳が不明確だったり、追加費用が発生する可能性について説明がなかったりする事務所は避けた方が無難です。
事前に複数の事務所から見積もりを取り、料金体系やサービス内容を比較検討することも有効です。
知人や信頼できる建築業者などからの紹介も、信頼できる調査士を見つけるための一つの方法です。
事務所の所在地やアクセスも考慮に入れつつ、最終的には実際に相談してみて、人柄や対応を含めて信頼できると感じられる調査士を選ぶことが最も大切です。

登記後の固定資産税や融資への影響を理解する

建物の構造変更登記が完了すると、登記簿上の建物の情報が更新されます。
この変更は、その後の固定資産税の評価や、建物を担保とした融資などに影響を与える可能性があります。
まず、固定資産税についてですが、建物の構造が木造から鉄骨造に変更されることで、一般的に建物の評価額が上昇する傾向にあります。
鉄骨造は木造と比較して建築コストが高く、耐久性も優れていると評価されることが多いためです。
評価額が上がれば、それに伴って固定資産税額も増加する可能性があります。
ただし、評価額の算出方法は複雑であり、構造変更だけでなく、建物の築年数や劣化状態なども考慮されますので、一概に税金が大幅に上がるとは限りません。
詳細については、建物の所在地の市町村役場の固定資産税課に確認することをお勧めします。
次に、建物を担保として融資を受ける場合、登記簿上の情報が正確であることは必須条件となります。
構造変更登記が完了し、登記簿に鉄骨造と正確に記載されることで、金融機関は建物の評価を適切に行うことができます。
木造よりも鉄骨造の方が資産価値が高いと判断されれば、融資額に有利に働く可能性も考えられます。
逆に、登記簿と現況が異なっている状態では、そもそも融資を受けることが難しくなるケースがほとんどです。
登記後の影響を理解し、計画的に手続きを進めることが、建物を有効活用するためにも重要です。

実際に経験した人の声から学ぶ構造変更登記のポイント

実際に木造から鉄骨造への構造変更登記を経験した方々の声を聞くと、いくつかの共通するポイントが見えてきます。
「リフォームで大幅に建物を変えたら、まさか登記が必要になるとは思わなかった」「建築確認申請と登記手続きが連動していることを知らず、後から慌てた」といったように、事前に登記の必要性や手続きの流れを十分に把握していなかったことによる苦労を語る方が多くいらっしゃいます。
ある方は「古い建物のため、過去の増築の記録が一切なく、土地家屋調査士さんが現況を正確に把握するのに時間がかかった」と話し、既存建物の履歴確認の重要性を強調されていました。
また、「複数の土地家屋調査士さんに見積もりをお願いしたら、費用も対応もかなり違いがあった」「信頼できる調査士さんにお願いできたおかげで、複雑な手続きもスムーズに進んだ」といった声からは、専門家選びの重要性が強くうかがえます。
特に「費用は安いに越したことはないけれど、信頼できる専門家にお願いするのが結局は一番安心で確実だった」という意見は、多くの経験者が共通して持つ感想のようです。
これらの声から学ぶべきポイントは、まず構造変更工事を計画する段階で、登記の必要性や手続きについて専門家(建築士や土地家屋調査士)に相談することです。
そして、建築確認申請などの関連手続きと登記手続きを並行して、計画的に進めること。
最後に、費用だけでなく、経験や対応、信頼性なども考慮して、依頼する土地家屋調査士を慎重に選ぶことです。
これらのポイントを押さえることで、構造変更登記を円滑に終えることができるでしょう。

まとめ

建物の構造変更登記、特に木造から鉄骨造への変更は、建物の大規模な改修に伴って必要となる重要な手続きです。
この登記は、建物の物理的な状況を不動産登記簿に正確に反映させ、不動産取引の安全性を守り、所有者の権利を明確にするために行われます。
登記を怠ると、法律違反となるだけでなく、将来の売却や相続、融資などの際に様々なトラブルを引き起こすリスクがあります。
手続きは、建物の測量・調査、必要書類の準備、登記申請書の作成、そして法務局への申請という流れで進み、通常は土地家屋調査士に依頼して行います。
費用は土地家屋調査士への報酬が主な部分を占め、建物の規模や状況によって変動しますが、適切な見積もりを取り、内訳を確認することが大切です。
登記完了までの期間は通常1〜2週間程度ですが、書類の不備や建物の状況によって前後します。
スムーズに進めるためには、工事完了後速やかに手続きを開始し、経験豊富な信頼できる土地家屋調査士に依頼することが鍵となります。
また、建築確認申請との整合性や過去の増改築履歴の確認なども、手続きを進める上での重要な注意点です。
構造変更登記が完了すると、固定資産税の評価額が上昇する可能性や、融資を受ける際の評価に影響を与える可能性があります。
これらの点を理解し、事前に準備を進めることで、木造から鉄骨造への構造変更登記を円滑かつ確実に行い、安心して建物を所有し続けることができるでしょう。
ご自身の建物の状況に合わせて、まずは専門家である土地家屋調査士に相談してみることをお勧めします。

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