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建築時期の登記が重要な理由とその確認方法

マイホームの購入や売却、相続など、不動産に関わる手続きを進める際に、「建築時期の登記」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
なぜ、この建築時期の登記がそれほど重要なのでしょうか?そして、もし確認が必要になった場合、どのように調べれば良いのでしょうか?この記事では、不動産の建築時期の登記が持つ意味や、それが不明な場合に起こりうる問題、そして具体的な確認方法について、分かりやすく解説していきます。
登記は不動産の権利関係や物理的な状況を公示する重要な制度であり、特に建築時期に関する情報は、その不動産の価値や安全性を判断する上で欠かせない要素となります。
この記事を読めば、建築時期の登記の重要性を理解し、ご自身の不動産について必要な情報を確認できるようになるでしょう。

目次

建築時期の登記がなぜ大切なのか?その重要性を徹底解説

不動産に関する手続きを進める上で、建築時期の登記情報は非常に重要な意味を持ちます。
単に建物の年齢を示すだけでなく、その不動産の価値や将来的な取り扱いに大きく影響するからです。
正確な建築時期が登記されていることで、不動産に関する様々なリスクを回避し、円滑な取引や手続きを行うための基盤となります。
ここでは、建築時期の登記がなぜ重要なのか、その理由を詳しく見ていきましょう。

登記された建築時期がもたらす安心感

建物がいつ建てられたかという情報は、その建物の状態を把握する上で最も基本的な情報です。
例えば、住宅ローンを組む際の融資期間や、火災保険・地震保険の保険料算定において、築年数は重要な判断材料となります。
築年数が新しいほど、建物の構造や設備が比較的新しく、耐震基準なども現行法に則っている可能性が高いため、金融機関や保険会社からの評価も高くなる傾向があります。
登記簿に正確な建築時期が記載されていれば、これらの手続きをスムーズに進めることができ、関係者全員が安心して取引や契約を行うことができます。
また、将来的にリフォームや建て替えを検討する際にも、正確な築年数が分かっていることで、適切な計画を立てやすくなります。
古い建物であっても、いつ建てられたかが明確であれば、専門家による建物の劣化診断なども正確に行え、必要な修繕や改修の時期を判断するのに役立ちます。

登記がない、あるいは古い場合の潜在リスク

もし建物の建築時期が登記されていなかったり、登記簿上の情報が実際と大きく異なっていたりする場合、様々な問題が生じる可能性があります。
最も大きなリスクの一つは、不動産の売却時に買主が見つけにくくなることです。
買主は建物の築年数を非常に重視しますが、登記情報が不確かだと、建物の状態や資産価値を正確に判断できず、購入を躊躇してしまうケースが少なくありません。
また、相続が発生した場合にも、建物の所有者や建築時期が不明確だと、遺産分割協議が難航したり、相続登記の手続きが複雑になったりする恐れがあります。
さらに、金融機関は融資の担保として不動産を評価する際に、登記情報を必須とします。
建築時期が不明確な建物は、担保価値を正確に評価できないため、ローンを組むのが困難になることも考えられます。
固定資産税の課税においても、建築時期は重要な要素ですが、登記が不備だと課税額が不正確になる可能性もあります。

不動産取引や相続における登記の役割

不動産の売買契約や相続手続きにおいて、登記情報は不動産の権利関係や物理的な状況を証明する公的な記録として機能します。
特に建築時期は、その建物の「いつから存在しているか」を示す情報であり、売主や被相続人が正当な所有者であることの根拠の一つともなり得ます。
買主や相続人は、登記情報を確認することで、対象となる不動産がどのような建物で、いつ建てられたのかを把握し、安心して取引や手続きを進めることができます。
例えば、築年数が古いにも関わらず耐震改修が行われている場合、その時期などが登記に付随する情報として記録されていることもあります。
これは買主にとって重要な判断材料となります。
また、相続においては、被相続人が建物をいつ取得したか(所有権保存登記や移転登記の時期)だけでなく、建物自体がいつ建てられたか(建物表題登記の時期)も、遺産分割の対象となる財産を特定する上で重要な情報となります。
登記が正確に行われていることで、これらのプロセスが透明性を持ち、関係者間の不要なトラブルを防ぐことにつながります。

登記簿で建築時期を確認する具体的な方法

不動産の建築時期を確認する最も信頼性の高い方法は、法務局に保管されている登記簿(現在は登記事項証明書として発行されます)を確認することです。
登記簿には、その不動産に関する様々な情報が記録されており、建築時期についても確認することができます。
ただし、登記の種類によって記載される情報が異なるため、どの登記を見れば良いのかを知っておくことが重要です。
ここでは、登記簿を用いて建築時期を確認する具体的な手順と、関連する情報について解説します。

建物表題登記と所有権保存登記から読み解く

建物の建築時期を確認する際に最も重要なのは、「建物表題登記」です。
この登記は、建物が新築された際に、その建物の物理的な状況(所在地、家屋番号、種類、構造、床面積、そして新築年月日)を登記簿に記録するために行われます。
法律上、建物を新築した所有者は、完成から1ヶ月以内にこの建物表題登記を申請する義務があります。
したがって、建物表題登記に記載されている「新築年月日」が、原則としてその建物の正確な建築時期(完成時期)を示しています。
一方、「所有権保存登記」は、新築された建物について、初めて所有権を登記する手続きです。
この登記には所有者に関する情報が記載されますが、建築時期そのものは通常、建物表題登記で確認します。
ただし、所有権保存登記の申請年月日や登記原因(例:「平成○年○月○日新築」)が、建築時期を推測する手がかりとなる場合もあります。
建築時期を特定するためには、まず建物表題登記の「新築年月日」を確認することが基本となります。

登記事項証明書を取得する手順

登記簿の情報を確認するためには、「登記事項証明書」を取得します。
これは、以前の登記簿謄本や抄本にあたるもので、法務局が発行する公的な証明書です。
登記事項証明書を取得するには、いくつかの方法があります。
最も一般的なのは、管轄の法務局の窓口で申請する方法です。
申請書に必要事項(不動産の所在地番や家屋番号など)を記入し、手数料(収入印紙で納めます)を添えて提出します。
また、オンラインで申請することも可能です。
法務局の「登記ねっと」というシステムを利用すれば、インターネットを通じて申請・取得ができます。
オンライン申請の場合、手数料が窓口申請よりも安くなるメリットがあります。
郵送で受け取ることも、近くの法務局で受け取ることも選択できます。
登記事項証明書を取得する際には、対象となる不動産の正確な所在地番や家屋番号が必要です。
これらの情報は、固定資産税の納税通知書や、過去の登記済証(権利証)、登記識別情報通知書などで確認できます。
もし分からない場合は、法務局の窓口でブルーマップ(公図に地番が表示された地図)や固定資産課税台帳の情報を基に調査を依頼することも可能です。

登記以外の情報源と併せて確認するポイント

登記簿は最も信頼できる情報源ですが、場合によっては登記簿だけでは情報が不十分だったり、実際と異なる記載があったりすることもあります。
そのような場合に備えて、登記以外の情報源も併せて確認することが重要です。
例えば、市町村役場で取得できる固定資産税評価証明書には、建物の構造や床面積とともに、新築年月日が記載されていることがあります。
この情報は、固定資産税の課税のために市町村が調査したものであり、登記簿と照らし合わせることで、より正確な建築時期を把握するのに役立ちます。
また、建物を建築した際に交付される「建築確認済証」や「検査済証」にも、建築計画や工事完了の時期が記載されています。
これらの書類は、建築基準法に適合していることを証明するものであり、建築時期の有力な手がかりとなります。
その他、古い売買契約書、工事請負契約書、建物の設計図書、過去の不動産広告、あるいは近隣住民の証言なども、建築時期に関する情報を得るための参考になることがあります。
これらの複数の情報源を照合することで、登記簿の情報が正しいかを確認したり、登記簿に記載がない場合の建築時期を推測したりすることが可能になります。
ただし、登記以外の情報源は公的な証明力を持たない場合があるため、最終的な判断は登記簿を基本とし、他の情報で補完するという姿勢が重要です。

建築時期の登記に関する知っておきたい注意点とよくある疑問

建築時期の登記は、一見シンプルに見えますが、実務上はいくつかの注意点や疑問が生じやすい箇所でもあります。
特に、登記上の情報が実際と異なるケースや、登記を怠った場合の影響など、知っておくべき重要なポイントがあります。
ここでは、建築時期の登記に関してよくある疑問や注意点について解説し、トラブルを防ぐための知識を深めましょう。

登記上の建築時期と実際の建築時期が異なるケース

建物表題登記に記載される「新築年月日」は、通常、建物の工事が完了した日、つまり建物が完成した日を指します。
しかし、この登記は建物の完成から1ヶ月以内に申請する義務があるにも関わらず、様々な理由で申請が遅れてしまうことがあります。
登記申請が遅れた場合、登記簿に記載される新築年月日は、実際の完成日ではなく、登記官が調査して認定した日や、登記申請がされた日などが記載されることがあります。
その結果、登記簿上の建築時期が実際の完成時期よりも遅い日付になるというケースが発生します。
また、増築や改築を行った場合でも、その変更登記が行われていないと、登記簿上の床面積や構造が現状と異なり、それに伴って建築時期に関する情報も不完全なままとなる可能性があります。
特に古い建物の場合、登記簿が作成された当時の測量技術や記録の精度が現在と異なるため、実際の建物の状況と登記簿の記載にずれが生じていることもあります。
これらのケースでは、登記簿の情報だけを鵜呑みにせず、他の資料と照らし合わせたり、専門家に相談したりすることが重要です。

登記を怠った場合の罰則や影響

建物表題登記は、建物を新築または増築・改築した場合に、所有者に申請が義務付けられています。
特に新築の場合、建物完成から1ヶ月以内に申請しなければならないと不動産登記法で定められています。
この申請義務を怠った場合、10万円以下の過料に処される可能性があります。
罰則の適用は稀だと言われますが、法律上の義務であることは認識しておくべきです。
しかし、罰則以上に大きな影響は、建物の所有権を第三者に対して主張できなくなることや、不動産取引が極めて困難になることです。
建物表題登記がされていない建物は、登記簿上に存在しない建物として扱われます。
そのため、その建物を売却しようとしても、買主は所有権移転登記を行うことができません。
また、金融機関も担保として評価できないため、住宅ローンを組むことが事実上不可能になります。
相続が発生した場合も、未登記の建物は遺産分割の対象として明確に特定しにくく、相続登記も複雑になります。
このように、登記を怠ることは、将来的な不動産の活用や処分に深刻な支障をきたす可能性が高く、過料よりもはるかに大きな不利益を被るリスクがあります。

専門家(司法書士・土地家屋調査士)に相談するタイミング

建築時期の登記に関する問題や疑問が生じた場合、専門家に相談することが最も確実で安心な方法です。
特に、以下のようなケースでは専門家のサポートが不可欠と言えるでしょう。
まず、登記事項証明書の見方が分からない、記載内容の意味が理解できないといった場合です。
登記簿は専門的な用語が多く使われているため、一般の方には読み解くのが難しいことがあります。
次に、取得した登記事項証明書に建築時期の記載がない、あるいは記載されている時期がどう考えても実際と違うという場合です。
この場合は、さらに詳しい調査が必要になる可能性があり、専門家の知識と経験が役立ちます。
また、ご自身の所有する建物が未登記であることに気づいた場合や、相続した建物が未登記だった場合、あるいは未登記の建物を購入・売却したいという場合も、手続きが複雑になるため専門家のサポートが必要です。
建物表題登記や建物の物理的な状況に関する登記(地積更正登記など)は土地家屋調査士の専門分野です。
一方、所有権保存登記や所有権移転登記など、権利に関する登記は司法書士の専門分野となります。
建築時期の確認や建物表題登記に関する相談は土地家屋調査士に、所有権に関する登記や相続・売買に伴う登記手続き全般に関する相談は司法書士に行うのが一般的です。
どちらの専門家が必要か判断に迷う場合は、まずはお近くの司法書士事務所や土地家屋調査士事務所に問い合わせてみると良いでしょう。

まとめ

不動産の建築時期の登記は、単なる古い情報ではなく、その不動産の現在の価値や将来的な活用、そして所有者の権利を守る上で非常に重要な情報です。
正確な建築時期が登記されていることで、不動産取引や相続がスムーズに進み、ローン契約や保険加入なども円滑に行うことができます。
逆に、建築時期の登記がなかったり、情報が不正確だったりすると、売却が困難になったり、相続手続きが複雑になったり、さらには法律上の義務違反となるリスクも生じます。
建築時期を確認するには、まず法務局で登記事項証明書を取得し、建物表題登記の「新築年月日」を確認するのが基本的な方法です。
もし登記情報だけでは判断が難しい場合や、登記がない場合は、固定資産税評価証明書や建築確認済証など、登記以外の資料も併せて確認することが有効です。
もしご自身の不動産の建築時期の登記に関して不安がある場合や、確認方法が分からない場合は、一人で悩まず、土地家屋調査士や司法書士といった専門家に相談することをお勧めします。
専門家は、登記簿の確認方法から、未登記建物の登記手続き、あるいは登記上の問題解決まで、的確なアドバイスとサポートを提供してくれます。
ご自身の不動産を安心して所有し、将来にわたって適切に管理・活用するためにも、建築時期の登記の重要性を理解し、必要に応じて適切な対応を取ることが大切です。

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