登記簿謄本.comでは登記簿謄本や登記事項証明書について詳しく解説をおこなっています

登記識別情報とは?安全に管理するためのポイント

不動産を所有している方なら、「登記識別情報」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
これは、あなたの不動産の権利を守るために非常に大切な情報です。
では、具体的に登記識別情報とは?従来の権利証(登記済証)と何が違うのでしょうか?そして、なぜこの情報が、まるで銀行の暗証番号やクレジットカード情報のように、厳重な管理を必要とするのでしょうか。
この記事では、登記識別情報の基本から、その重要性、そして万が一の事態を防ぐための具体的な管理方法まで、分かりやすく解説していきます。
大切な資産である不動産を守るため、ぜひ最後までお読みいただき、安全な管理のヒントを得てください。

目次

登記識別情報とは何か?権利証との違いを理解する

登記識別情報が生まれた背景と役割

登記識別情報とは、不動産登記が完了した際に、登記名義人(不動産の所有者など)に対して通知される12桁の英数字からなるパスワードのようなものです。
これは、平成17年(2005年)に不動産登記法が改正され、登記手続きのオンライン化が進められる中で誕生しました。
それまでの「登記済証」、通称「権利証」に代わるものとして導入されたのです。
その最大の役割は、不動産に関する登記申請を行う際に、その申請が正当な権利者によって行われていることを証明するための情報となることです。
例えば、あなたが所有する不動産を売却したり、誰かに贈与したり、あるいは抵当権を設定したりといった、所有権や担保権に関する登記申請を行う際には、原則としてこの登記識別情報の提供が必要になります。
つまり、この情報を持っている人が、その不動産の権利者であると推定される、非常に重要な意味合いを持つ情報なのです。
この制度変更の背景には、より迅速かつ効率的な登記手続きを実現すること、そして従来の権利証に比べてセキュリティを高める狙いがありました。
従来の権利証は書面でしたが、登記識別情報は情報そのものであり、オンライン申請にも対応できるようになっています。
これは、現代社会のデジタル化の流れを受けた当然の進化と言えるでしょう。
しかし、その利便性の裏側には、情報漏洩や悪用といった新たなリスクも潜んでいます。

12桁の英数字パスワードの正体

登記識別情報は、不動産ごとに、そして登記名義人ごとに発行される固有の12桁の英数字の組み合わせです。
これは、一度発行されると原則として変更されることはありません。
例えば、あなたが土地と建物を所有しており、それぞれに対して所有権の登記がされている場合、土地の登記識別情報と建物の登記識別情報は別々に発行されます。
また、一つの不動産を複数人で共有している場合は、共有者それぞれに対して、その共有持分に応じた登記識別情報が発行されます。
この12桁のパスワードは、非常に高いセキュリティレベルを持つように設計されており、推測することは極めて困難です。
この番号は、登記完了時に法務局から発行される「登記識別情報通知書」という書面に記載されています。
この通知書は、通常、A4サイズの用紙で、登記識別情報が記載された部分には目隠しシールが貼られています。
この目隠しシールを剥がすと、12桁の英数字が現れる仕組みです。
このパスワードが、次の登記申請時に本人確認の重要な要素として機能するのです。
この12桁のパスワードこそが、あなたの不動産の権利を証明する「鍵」そのものなのです。
銀行のキャッシュカードの暗証番号が、口座からお金を引き出すために不可欠であるのと同様に、登記識別情報は、不動産の権利を変動させる登記手続きに不可欠な情報です。
この情報の取り扱いには、最大限の注意を払う必要があります。

従来の権利証(登記済証)との違いと共通点

登記識別情報と従来の権利証(登記済証)は、どちらも不動産の権利者を証明するという点で共通していますが、その形式や取り扱いに大きな違いがあります。
権利証は、物理的な書面であり、登記申請書の一部に法務局の公印が押されたものです。
いわば「権利を登記しました」という証明書そのものであり、その書面自体に価値がありました。
一方、登記識別情報は、物理的な書面ではなく、あくまで「情報」です。
それを記載した通知書はありますが、重要なのは通知書に記載された12桁のパスワードそのものです。
通知書自体を紛失しても、パスワードを覚えていたり、別の場所に記録していれば問題ありません(ただし、通知書の再発行は原則不可です)。
この情報化は、オンライン申請を可能にする一方で、情報の漏洩や悪用といった新たなリスクを生み出しました。
権利証は盗難のリスクがありましたが、登記識別情報はそれに加えて、サイバー攻撃やフィッシング詐欺などによる情報漏洩のリスクも考慮する必要があります。
しかし、どちらも不動産の権利を証明する最も重要な書類(情報)であるという点では同じです。
権利証の時代から、「権利証は金庫にしまっておくべし」と言われてきましたが、登記識別情報も同様に、あるいはそれ以上に厳重な管理が求められます。
また、権利証は一度紛失すると再発行が非常に困難でしたが、登記識別情報も同様に、一度発行された情報が失効した場合、原則として同じ情報が再発行されることはありません。
この「再発行が原則できない」という点は、どちらの制度でも共通する非常に重要なポイントです。

なぜ登記識別情報の安全な管理が重要なのか?リスクを理解する

悪用されるとどうなる?不動産乗っ取りのリスク

登記識別情報が悪意のある第三者の手に渡ってしまうと、非常に深刻な事態を招く可能性があります。
最も恐ろしいリスクの一つが、あなたの知らない間に不動産を勝手に売却されたり、抵当権を設定されたり、といった「不動産乗っ取り」です。
登記識別情報は、登記申請の際に本人確認の重要な要素となるため、これが第三者に知られると、その第三者があなたになりすまして登記申請を行うことが可能になってしまいます。
例えば、あなたが海外旅行に行っている間に、あなたの登記識別情報を使って、あなたの土地建物が勝手に第三者に売却され、その所有権移転登記が完了してしまう、というシナリオも理論上はあり得ます。
もちろん、実際の登記手続きでは、登記識別情報の提供だけでなく、印鑑証明書や実印なども必要になりますし、司法書士が本人確認を厳格に行うため、そう簡単に悪用できるわけではありません。
しかし、印鑑証明書や実印なども同時に盗まれたり、巧妙な手口で騙し取られたりする可能性もゼロではありません。
登記識別情報が漏洩することは、あなたの不動産の権利が危険にさらされることを意味します。
大切な資産を守るためには、この情報が絶対に他人に知られないように、細心の注意を払って管理する必要があります。
不動産は多くの人にとって人生最大の資産であり、その権利を失うことは、経済的にも精神的にも計り知れないダメージとなります。
だからこそ、登記識別情報の管理は、単なる書類の保管ではなく、資産防衛の最前線と考えるべきなのです。

紛失・漏洩した場合の重大な影響

もし登記識別情報を紛失したり、何らかの理由で情報が漏洩してしまったりした場合、その影響は非常に重大です。
まず、第一に、紛失した登記識別情報は原則として再発行されません。
一度発行された12桁の英数字の組み合わせは固定されており、失くしたからといって法務局が同じ番号を再度発行してくれることはありません。
これは、セキュリティ上の理由からです。
では、登記識別情報が手元にない場合、不動産の売却や贈与などの登記手続きができなくなるのでしょうか?いいえ、手続きが全くできなくなるわけではありません。
登記識別情報が手元にない場合でも、代替手段として、法務局による事前通知制度を利用したり、司法書士による本人確認情報を提供したりすることで、登記申請を行うことは可能です。
しかし、これらの代替手段は、通常の手続きよりも時間や手間がかかり、場合によっては追加の費用も発生します。
例えば、事前通知制度を利用する場合、法務局から登記義務者(例えば売主)に対して通知が送られ、その通知を受け取った登記義務者が一定期間内に異議を述べなければ登記が実行される、という流れになります。
これは取引相手に不安を与える可能性もあります。
登記識別情報の紛失や漏洩は、将来の不動産取引をスムーズに行えなくなるという実務上の不利益を招くのです。
さらに、情報が漏洩した場合、不正利用されるリスクに常に晒されることになります。
この不安は、精神的な負担も大きいでしょう。
これらのことから、登記識別情報の安全な管理は、単に不正利用を防ぐためだけでなく、あなた自身の将来的な手続きの円滑さのためにも、極めて重要なのです。

再発行が原則できないことの重み

登記識別情報が一度発行されると、原則として再発行ができないという事実は、この情報の取り扱いにおける重要性を一層際立たせます。
従来の権利証も再発行は困難でしたが、登記識別情報は「情報」であるにも関わらず、物理的な紛失と同じような扱われ方をする点が特徴です。
では、なぜ再発行が原則できないのでしょうか?これは、セキュリティを最優先に考えた結果です。
もし安易に再発行に応じてしまうと、悪意のある人物が「紛失した」と偽って再発行を申請し、正当な権利者の登記識別情報を不正に入手するといったリスクが生じてしまいます。
そのため、法務局は一度発行した登記識別情報と同じものを再度発行することはせず、もし紛失や漏洩によって使用できなくなった場合は、その登記識別情報を失効させる手続き(失効の申出)を行い、代替手段によって登記申請を行うことになります。
再発行ができないということは、最初に発行された登記識別情報通知書を、文字通り一生ものとして大切に保管しなければならないことを意味します。
この重みをしっかりと理解することが、安全な管理への第一歩と言えるでしょう。
一度失効手続きをすると、その登記識別情報は二度と使えません。
将来、その不動産に関する登記を行う際には、必ず前述の代替手段に頼る必要が出てきます。
これは、特に高齢になった際や、緊急で不動産取引が必要になった場合に、手続きが煩雑になる原因となり得ます。
だからこそ、元気なうちに、そして判断能力がはっきりしているうちに、将来にわたって安全に管理できる体制を整えておくことが非常に大切なのです。

登記識別情報を安全に管理するための具体的な方法

物理的な保管方法の工夫

登記識別情報通知書は、非常に重要な書類ですので、物理的な保管場所には最大限の配慮が必要です。
まず、最も基本的かつ重要なのは、盗難や火災、水害などから守れる場所に保管することです。
自宅に保管する場合、耐火性能のある金庫が最も推奨される場所の一つです。
ただし、金庫に入れておけば安心というわけではありません。
金庫自体が盗難に遭うリスクもゼロではありませんし、浸水被害を防げるわけでもありません。
そこで、複数の場所に分散して保管するという工夫も考えられます。
例えば、自宅の金庫に原本を保管し、コピー(登記識別情報が記載された部分以外)を信頼できる親族や専門家(司法書士など)に預けておく、という方法です。
ただし、登記識別情報そのものを記載した部分のコピーを安易に他人に渡すのは危険ですので、その点は注意が必要です。
また、金庫の設置場所も重要です。
人目のつきにくい場所、そして万が一の火災や水害でも影響を受けにくい場所を選ぶべきでしょう。
さらに、金庫の鍵や暗証番号の管理も徹底する必要があります。
これらの情報が漏洩すれば、金庫に保管している意味がなくなってしまいます。
家族間での共有も検討が必要ですが、誰に、どの範囲で情報を共有するかは、家族構成や信頼関係を考慮して慎重に判断すべきです。
家族であっても、悪意を持つ可能性や、不注意で情報を漏洩させてしまうリスクはゼロではないからです。
また、相続が発生した場合に、相続人が登記識別情報通知書の存在を知らない、あるいはどこに保管されているか分からない、といった事態を防ぐためにも、エンディングノートや遺言書に保管場所を記載しておくことも有効な対策と言えるでしょう。

オンラインでの管理における注意点

登記識別情報通知書は紙媒体ですが、その情報である12桁の英数字をデジタルデータとして保存することを考える方もいるかもしれません。
例えば、パソコンのファイルに保存したり、クラウドストレージにアップロードしたり、パスワード管理ツールに入力したりといった方法です。
デジタルデータとして管理できれば、検索が容易になったり、物理的な紛失のリスクを避けられるというメリットがあるように感じられます。
しかし、オンラインでの管理には、物理的な保管とは異なる、あるいはそれ以上のリスクが伴います。
最も大きなリスクは、サイバー攻撃による情報漏洩です。
パソコンがウイルスに感染したり、利用しているクラウドサービスがハッキングされたりすることで、登記識別情報が悪意のある第三者の手に渡ってしまう可能性があります。
また、フィッシング詐欺やマルウェアによって、入力した情報が抜き取られるリスクも考慮しなければなりません。
もしデジタルデータとして保管する場合は、厳重なセキュリティ対策が不可欠です。
具体的には、ファイルを暗号化して保存する、信頼性の高いパスワード管理ツールを利用し、そのツール自体に強力なマスターパスワードを設定する、二段階認証を設定する、利用するデバイスやサービスは常に最新の状態にアップデートしておく、といった対策が必要です。
個人的な意見としては、登記識別情報のような極めて重要な情報は、可能な限りオフラインで、物理的に安全な場所に保管するのが最も安全だと考えます。
デジタルで管理する場合でも、万が一のリスクを十分に理解した上で、万全の対策を講じることが絶対条件です。
安易なデジタル化は、かえってリスクを高めることになりかねません。

家族間での共有や管理方法

登記識別情報の管理は、所有者本人が行うのが原則ですが、将来的な相続や、万が一所有者が判断能力を失ってしまった場合などを考えると、家族間での情報共有や管理体制についても検討しておく必要があります。
しかし、家族であっても、登記識別情報という極めて重要な情報を安易に共有することは、リスクも伴います。
共有する相手が、情報の重要性を理解していなかったり、不注意で第三者に漏らしてしまったりする可能性もゼロではないからです。
また、家族間に争いが生じた場合、登記識別情報が悪用されるリスクも考えられます。
もし家族と情報を共有する場合、その必要性、共有する相手、共有する情報の範囲(登記識別情報そのものか、それとも保管場所の情報だけか)、そして共有する際のルールを明確に定めておくことが重要です。
例えば、夫婦で情報を共有する場合でも、それぞれが別の場所に保管するなど、リスク分散を考えるべきでしょう。
子供に情報を共有する場合は、その子が情報の重要性を十分に理解できる年齢であるか、信頼できるかを見極める必要があります。
また、単に情報を共有するだけでなく、なぜこの情報が重要なのか、どのように扱わなければならないのかを丁寧に説明し、家族全員で情報の重要性を認識することが大切です。
エンディングノートや遺言書に、登記識別情報の保管場所や、万が一の際の対応について記載しておくことも、残された家族が困らないための有効な手段です。
ただし、これらの書面も情報漏洩のリスクがあるため、保管場所には注意が必要です。
家族との情報共有は、信頼関係を基盤としつつも、リスク管理の視点を決して忘れてはなりません。

専門家(司法書士など)への相談も検討

登記識別情報の安全な管理について不安がある場合や、より専門的なアドバイスを受けたい場合は、司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。
司法書士は、不動産登記の専門家であり、登記識別情報の取り扱いについても豊富な知識と経験を持っています。
専門家は、あなたの状況に合わせて、最も安全で適切な管理方法について具体的なアドバイスを提供してくれます。
例えば、通知書の保管場所や方法について、あるいは将来的な相続を見据えた管理方法についてなど、様々な観点からサポートを受けられます。
また、司法書士によっては、登記識別情報通知書を預かってくれるサービスを提供している場合もあります。
これは、自宅での保管に不安がある場合や、遠方に住んでいる場合などに有効な選択肢となり得ます。
専門家に預けることで、盗難や紛失のリスクを大幅に減らすことができます。
ただし、この場合も、信頼できる専門家を選ぶことが非常に重要です。
どのような体制で保管してくれるのか、費用はどのくらいかかるのかなどを事前にしっかりと確認しましょう。
さらに、万が一登記識別情報を紛失してしまった場合や、不正に利用された可能性がある場合など、緊急時にも専門家は迅速かつ適切な対応をサポートしてくれます。
例えば、不正登記防止申出制度の利用手続きについてアドバイスを受けたり、手続きを代行してもらったりすることも可能です。
登記識別情報は、それほどまでに重要な情報であり、その管理には専門的な知識や経験が役立ちます。
一人で悩まず、信頼できる専門家のサポートを積極的に活用することを検討してみてください。
これは、あなたの大切な不動産を守るための、非常に有効な手段の一つです。

万が一、登記識別情報を紛失・漏洩してしまったら?

まず行うべき緊急対応

もし登記識別情報通知書を紛失してしまったり、何らかの形で12桁の英数字の情報が第三者に漏洩してしまった可能性がある場合は、一刻も早く適切な対応を取ることが重要です。
まず最初に行うべき緊急対応は、不正な登記申請が行われていないかを確認することです。
法務局に問い合わせて、あなたの不動産に関して不審な登記申請がされていないか確認することができます。
また、登記情報提供サービスを利用して、現在の登記情報を確認することも有効です。
もし、すでに不審な登記がされていることが判明した場合は、直ちに法務局にその旨を伝え、詳細な状況を確認する必要があります。
次に、不正な登記申請を未然に防ぐための手続きを検討します。
これについては、後述する不正登記防止申出制度の利用が主な手段となります。
この制度は、登記識別情報が盗まれたり失効したりした場合に、不正な登記がされるのを防ぐためのものです。
手続きには期限がある場合があるため、迅速な対応が求められます。
また、紛失や漏洩の原因を特定することも重要です。
どこで、どのようにして情報が失われたのかを把握することで、今後の再発防止策を講じることができます。
例えば、パソコンから漏洩した可能性があれば、セキュリティ対策を見直す必要がありますし、物理的な紛失であれば、保管場所や管理方法を見直す必要があります。
不安な場合は、すぐに司法書士に相談することをお勧めします。
専門家は、状況を正確に把握し、取るべき最善の行動について具体的なアドバイスを提供してくれます。
緊急時には、迅速な判断と行動が非常に重要となるため、一人で抱え込まず、専門家の助けを借りることが賢明です。

不正登記防止申出制度の活用

登記識別情報を紛失したり、情報が漏洩したりした場合に、不正な登記申請が行われることを防ぐための重要な制度が「不正登記防止申出制度」です。
この制度は、登記識別情報通知書を紛失した、盗まれた、あるいは有効な登記識別情報が失効した場合などに、法務局に対して不正な登記がされるのを防止するための申出を行うものです。
申出が受理されると、申出をした不動産について、申出人が登記義務者となる所有権や抵当権などの登記申請があった場合に、法務局から申出人に対して通知が送られるようになります。
この通知を受け取った申出人は、その登記申請が不正なものである場合は、法務局にその旨を伝えることで、登記の実行を差し止めることができます。
この制度は、申出から3ヶ月間有効です。
もし3ヶ月経過しても不正な登記がされる懸念が払拭されない場合は、再度申出を行うことができます。
不正登記防止申出制度は、万が一の事態が発生した場合に、あなたの不動産の権利を守るための非常に有効なセーフティネットです。
この制度を利用するためには、法務局に所定の申出書を提出する必要があります。
申出書には、申出人の氏名や住所、対象となる不動産の表示、申出の理由などを記載します。
手続きについて不明な点がある場合は、法務局に問い合わせるか、司法書士に相談することをお勧めします。
申出は、不正な登記がされる前に、速やかに行うことが最も効果的です。
情報が漏洩した可能性があると感じたら、躊躇せずにこの制度の利用を検討すべきです。
これは、被害を最小限に抑えるための、極めて重要な対応策となります。

専門家への相談の重要性

登記識別情報の紛失や漏洩は、多くの人にとって初めて経験する事態であり、どう対応すれば良いか分からずパニックになってしまうことも少なくありません。
このような緊急時において、司法書士などの専門家への相談は、冷静かつ適切な対応を取るために不可欠です。
専門家は、登記に関する豊富な知識と経験を持っており、あなたの状況を正確に把握した上で、取るべき行動について具体的なアドバイスを提供してくれます。
例えば、本当に情報が漏洩しているのかどうかの判断、不正登記防止申出制度の利用手続き、代替手段による将来の登記手続きの方法など、多岐にわたるサポートを受けることができます。
また、専門家に相談することで、一人で不安を抱え込むことなく、精神的な負担を軽減することもできます。
特に、不正利用のリスクに怯えているような状況では、専門家の存在は大きな安心感につながります。
さらに、もし実際に不正な登記申請がされてしまった場合でも、専門家は法務局とのやり取りや、場合によっては裁判手続きなど、その後の対応についてもサポートしてくれます。
万が一の事態に直面した際は、「まずは専門家に相談する」という行動原則を持っておくことが非常に重要です。
事前に信頼できる司法書士を見つけておき、連絡先を控えておくことも、いざという時の備えとなります。
専門家は、あなたの権利を守るための力強い味方となってくれるでしょう。
登記識別情報に関するトラブルは、放置すると深刻な結果を招く可能性があるため、迅速な専門家への相談が、被害を最小限に抑える鍵となります。

日頃からの備えがなぜ大切か

登記識別情報の紛失や漏洩といった事態は、いつ誰に起こるか分かりません。
しかし、万が一の事態が発生した際に、慌てず適切に対応できるかどうかは、日頃からの備えにかかっています。
日頃からの備えがなぜ大切なのかというと、それは緊急時に冷静な判断を下し、迅速に行動するためです。
例えば、登記識別情報通知書をどこに保管したかを家族間で共有しておく、信頼できる司法書士の連絡先を控えておく、不正登記防止申出制度について基本的な知識を持っておく、といった備えがあれば、いざという時に「何をすれば良いか分からない」という状況に陥るリスクを減らすことができます。
また、日頃から登記識別情報の重要性を認識し、安全な管理方法を実践しておくことで、そもそも紛失や漏洩のリスク自体を低減させることができます。
具体的には、通知書を受け取ったらすぐに安全な場所に保管する、不必要な人に情報を見せない、デジタルデータとして保存する場合は厳重なセキュリティ対策を講じる、といった日々の積み重ねが重要です。
備えあれば憂いなし、という言葉があるように、登記識別情報のような重要な情報については、最悪のシナリオを想定して準備しておくことが賢明です。
特に、不動産取引の予定がある方や、高齢になってきた方は、改めてご自身の登記識別情報の管理状況を確認し、必要に応じて管理方法を見直したり、専門家に相談したりすることをお勧めします。
あなたの不動産を守るための「備え」は、決して無駄にはなりません。
それは、将来の安心を買うための投資とも言えるでしょう。

まとめ

登記識別情報は、不動産の権利を証明する非常に重要な情報であり、従来の権利証に代わるパスワードのようなものです。
この情報は、不動産の売買や贈与など、所有権に関する登記手続きを行う際に不可欠となります。
登記識別情報が悪意のある第三者の手に渡ると、あなたの知らない間に不動産が不正に処分されてしまうという、深刻なリスクが存在します。
また、一度紛失したり漏洩したりした場合、原則として再発行はできず、将来の不動産取引において手続きが煩雑になる可能性があります。
これらのリスクを回避し、大切な資産である不動産を守るためには、登記識別情報の安全な管理が極めて重要です。

安全な管理方法としては、物理的な保管場所の選定がまず基本となります。
耐火金庫への保管や、信頼できる親族・専門家との分散保管などが考えられます。
デジタルデータとしての管理も可能ですが、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクを十分に理解し、厳重なセキュリティ対策を講じることが絶対条件です。
個人的には、オフラインでの物理的な保管が最も安全だと考えます。
また、家族間での情報共有は慎重に行い、情報の重要性を全員が理解することが大切です。
不安がある場合や、より安全な管理方法を知りたい場合は、司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。
専門家は、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを提供し、必要に応じて保管サービスなども提案してくれます。

万が一、登記識別情報を紛失・漏洩してしまった場合は、不正登記防止申出制度の利用を検討するなど、迅速な対応が必要です。
このような緊急時においても、日頃からの備えや専門家への相談が、冷静かつ適切な対応を可能にします。
登記識別情報の安全な管理は、あなたの不動産、そしてご家族の将来を守るための、重要な責任です。
この記事で解説したポイントを参考に、今一度ご自身の登記識別情報の管理状況をご確認いただき、必要であれば見直しや対策を講じることを強くお勧めします。
大切な資産を守るために、今日からできることから始めてみましょう。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる