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構造変更登記とは?建物の構造が変わった時の手続き方法

建物にリフォームや改築を加えた際、「構造変更登記」という言葉を耳にして、「これって一体何のことだろう?」「うちの工事は関係あるのかな?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
建物の構造が変わるような大きな工事をした後には、この構造変更登記が必要になるケースがあります。
しかし、具体的にどのような場合に必要で、どんな手続きをすれば良いのか、費用はどのくらいかかるのかなど、分からないことだらけで不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな構造変更登記について、建物の構造が変わるとは具体的にどういうことなのか、なぜ登記が必要なのかという基本的なことから、具体的な手続き方法、知っておきたい費用やリスク、注意点まで、専門家ならではの視点を交えながら、分かりやすく丁寧にご説明していきます。
最後までお読みいただければ、構造変更登記に関する疑問や不安がきっと解消されるはずです。

目次

構造変更登記とは?建物の「構造」が変わるとは具体的にどういうことか

構造変更登記とは、建物の登記簿に記載されている「構造」に変更があった場合に申請する登記のことです。
建物の登記簿には、所在、種類、構造、床面積などが記録されており、これらの情報に変更があった際には、その内容に合わせて登記を変更する必要があります。
構造変更登記が必要となるのは、文字通り建物の構造が変更された場合ですが、ここでいう「構造」とは、登記簿に記載される「構造」のことで、一般的な建築構造とは少し意味合いが異なります。
登記簿上の構造とは、建物の主要な骨組みや屋根の種類、階数などによって分類されるものです。
例えば、木造から鉄骨造に変わった場合や、瓦葺きからスレート葺きに変わった場合などがこれに該当します。
また、平屋建てだった建物が二階建てになった場合など、階数が増減した場合も構造変更登記が必要になることがあります。
つまり、単なる間取りの変更や内装のリフォームでは必要ありませんが、建物の骨格や屋根材、階数など、登記簿に記載されている「構造」に関する情報が変更された場合には、構造変更登記が必要になる可能性があるというわけです。
ご自身の建物がどのような構造変更に該当するのか判断に迷う場合は、専門家である土地家屋調査士に相談することをおすすめします。

構造変更登記が必要になるのはどんなケース?具体例を解説

構造変更登記が必要になるのは、建物の登記簿に記載されている「構造」が変更された場合です。
具体的なケースとしては、まず建物の主要構造材を変更した場合が挙げられます。
例えば、もともと木造だった建物を大規模に改修し、主要な柱や梁を鉄骨に置き換えるような工事を行った場合、登記簿上の構造が「木造」から「鉄骨造」に変更されるため、構造変更登記が必要となります。
同様に、軽量鉄骨造から鉄骨鉄筋コンクリート造に変更した場合なども該当します。
次に、屋根の種類を変更した場合も構造変更登記が必要になることがあります。
登記簿には屋根の種類も記載されており、例えば瓦葺きだった屋根を金属板葺きに変更したり、スレート葺きから瓦葺きに変更したりした場合など、登記簿上の屋根の種類に変更が生じた場合には構造変更登記を申請する必要があります。
さらに、建物の階数を変更した場合も構造変更登記が必要になるケースです。
例えば、平屋建ての建物に増築して二階部分を設けた場合、登記簿上の構造が「木造瓦葺平家建」などから「木造瓦葺二階建」などに変更されるため、構造変更登記と合わせて増築登記も必要になります。
逆に、二階建ての一部を取り壊して平屋にした場合なども該当します。
これらの工事は、建物の外観や耐久性、そして登記簿上の表示に大きな影響を与える変更であり、正確な情報を登記簿に反映させることが求められます。

構造変更登記と他の登記(増築・用途変更)との違い

建物の登記には、構造変更登記以外にも様々な種類があります。
代表的なものに増築登記や用途変更登記がありますが、これらは構造変更登記とは目的や内容が異なります。
まず、増築登記は、建物の床面積が増加した場合に行う登記です。
例えば、既存の建物の横に部屋を増やしたり、二階部分を増築したりした場合に必要となります。
増築に伴って構造や階数が変わる場合は、増築登記と合わせて構造変更登記も必要になることがあります。
しかし、床面積が増えただけで構造や用途に変更がない場合は、増築登記のみを行います。
次に、用途変更登記は、建物の使用目的を変更した場合に行う登記です。
例えば、住居として使用していた建物を店舗や事務所として使用するように変更した場合などがこれに該当します。
用途変更登記は、建物の構造や床面積に変更がなくても、使用目的が変わる場合に必要となります。
構造変更登記はあくまで建物の物理的な構造部分の変更を反映させる登記であり、増築や用途変更とは直接的な関係がない場合もあります。
例えば、屋根材だけを変更した場合などは構造変更登記のみが必要となるケースです。
逆に、大規模なリフォームで構造、床面積、用途すべてが変わるような場合は、それぞれの変更内容に応じた登記が必要となり、複数の登記をまとめて申請することになるのが一般的です。
これらの登記はそれぞれ異なる目的と手続きが必要となるため、ご自身の工事内容に合わせて必要な登記の種類を正確に把握することが重要です。

なぜ構造変更登記が必要なのか?その義務と重要性

構造変更登記は、建物の所有者に課せられた義務であり、建物の現況を正確に登記簿に反映させるために非常に重要です。
不動産登記法では、建物の物理的な状況に変更があった場合、所有者は変更が生じた日から1ヶ月以内に変更登記を申請しなければならないと定められています。
これは、登記簿が建物の正確な情報を公示することで、不動産取引の安全性を確保するためです。
例えば、登記簿上の構造と実際の構造が異なっていると、建物の売買や抵当権設定を行う際に、買主や金融機関が建物の正確な情報を把握できず、トラブルの原因となる可能性があります。
また、建物の構造は固定資産税の評価にも影響を与えるため、構造が変更されたにも関わらず登記簿が古い情報のままになっていると、適切な税額が算出されないといった問題も起こり得ます。
さらに、火災保険の加入や保険金の請求、相続手続きなど、様々な場面で登記簿の記載内容が重要になります。
登記簿の情報が最新かつ正確であることは、所有者自身の権利を守り、将来的なトラブルを未然に防ぐために不可欠なのです。
構造変更登記を怠ると、過料が課される可能性もあるため、構造に変更が生じるような工事を行った場合は、速やかに手続きを行うことが強く推奨されます。
義務であると同時に、ご自身の財産である建物の情報を正確に管理するための重要な手続きであることを理解しておきましょう。

構造変更登記の具体的な手続き方法と流れ

構造変更登記の手続きは、一般的に建物の所有者自身が行うか、専門家である土地家屋調査士に依頼して行います。
手続きの流れとしては、まず建物の構造変更工事が完了した後、その変更内容を確認します。
次に、登記申請に必要な書類を準備します。
必要な書類は変更内容によって異なりますが、一般的には登記申請書の他に、工事完了を証明する書類や、建物の図面などが求められます。
これらの書類を準備したら、管轄の法務局に登記申請を行います。
法務局での審査を経て、登記が完了すると、登記簿の内容が更新されます。
この一連の手続きには、専門的な知識や正確な測量、図面作成が必要となる場合が多く、書類の不備があると申請が受け付けられなかったり、手続きに時間がかかったりすることがあります。
そのため、多くの場合は土地家屋調査士に依頼することになります。
専門家に依頼すれば、必要な書類の作成や法務局とのやり取りをすべて任せることができ、スムーズに手続きを進めることが可能です。
自分で手続きを行う場合は、法務局の相談窓口などを利用して、必要な書類や手続き方法を事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

登記に必要な書類は?自分で準備できるもの、専門家に依頼するもの

構造変更登記に必要な書類は、変更の内容や状況によって多少異なりますが、一般的に以下のような書類が必要となります。
まず、登記申請書は必ず必要となる書類です。
これは法務局のホームページからダウンロードできる雛形を利用するか、専門家に作成を依頼します。
自分で作成する場合は、記載事項に漏れや誤りがないように注意が必要です。
次に、建物の図面が必要になります。
具体的には、建物の所在図、地積測量図、各階平面図などです。
構造変更に伴い、建物の形状や面積が変わる場合は、変更後の正確な図面を作成しなければなりません。
これらの図面は専門的な知識と技術が必要となるため、通常は土地家屋調査士に作成を依頼します。
自分で測量や図面作成を行うのは非常に難しいため、図面作成が必要な場合は専門家への依頼が必須と考えた方が良いでしょう。
その他、工事完了を証明する書類として、工事請負契約書や工事費用の領収書、建築確認済証や検査済証の写しなどが求められる場合があります。
これらの書類は通常、工事を依頼した業者から取得できます。
また、申請者の住民票や印鑑証明書、代理人に依頼する場合は委任状なども必要になります。
自分で準備できる書類は、住民票や印鑑証明書、工事関連の書類などですが、登記申請書や専門的な図面は専門家に依頼するのが現実的です。

申請から完了までの期間と、スムーズに進めるためのポイント

構造変更登記の申請から完了までの期間は、申請内容や法務局の混雑状況によって異なりますが、一般的には申請から1週間から2週間程度で完了することが多いようです。
ただし、書類に不備があったり、登記官から追加の確認を求められたりした場合は、さらに時間がかかることもあります。
スムーズに手続きを進めるためのポイントはいくつかあります。
まず最も重要なのは、必要な書類を漏れなく、正確に準備することです。
特に建物の図面は、実測に基づいて正確に作成されている必要があり、不備があると登記が完了しない大きな原因となります。
次に、構造変更工事が完了したら、できるだけ早く申請を行うことです。
不動産登記法では変更後1ヶ月以内という申請期限が定められています。
期限を過ぎると過料の対象となる可能性があるだけでなく、時間が経つと工事内容の詳細や関連書類の整理が難しくなることもあります。
また、自分で申請する場合は、事前に法務局の登記相談窓口を利用して、必要書類や手続きの流れについて詳しく確認しておくことをお勧めします。
可能であれば、申請前に書類一式を法務局の相談窓口で確認してもらうと、不備を減らすことができます
そして、最も確実でスムーズな方法は、信頼できる土地家屋調査士に依頼することです。
専門家であれば、必要書類の準備から法務局への申請、登記完了後の確認まで、すべて適切に対応してくれるため、安心して任せることができます。

登記を専門家に依頼する場合の費用相場と選び方

構造変更登記を専門家である土地家屋調査士に依頼する場合、その費用は建物の構造や変更内容、手続きの複雑さなどによって異なります。
一般的な費用相場としては、10万円から20万円程度を目安と考えておくと良いでしょう。
この費用には、土地家屋調査士への報酬のほか、法務局へ納める登録免許税(登記の種類や建物の評価額によって異なる)や、書類の取得費用、測量費用などが含まれます。
ただし、非常に大規模な構造変更であったり、測量が困難な敷地であったりする場合は、費用が相場よりも高くなることもあります。
専門家を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
まず、信頼できる実績があるかどうかを確認しましょう。
ホームページなどで過去の実績やお客様の声などを確認するのも参考になります。
次に、費用について明確な説明があるかどうかも重要です。
依頼する前に必ず見積もりを取り、費用の内訳や追加費用が発生する可能性についてしっかりと説明を受けましょう。
また、担当者とのコミュニケーションがスムーズに取れるかどうかも大切です。
疑問点や不安な点について、丁寧に分かりやすく説明してくれる土地家屋調査士を選ぶと、安心して手続きを進めることができます。
知人からの紹介や、インターネットでの口コミなども参考にしながら、ご自身の状況に合った専門家を見つけることが、スムーズな構造変更登記への近道となります。

構造変更登記をしないとどうなる?知っておきたいリスクと注意点

構造変更登記は建物の所有者の義務であると同時に、ご自身の財産管理において非常に重要な手続きです。
もし構造変更登記を行わないまま放置してしまうと、様々なリスクや問題が発生する可能性があります。
最も直接的なリスクの一つは、不動産登記法違反による過料です。
建物の物理的な状況に変更があったにも関わらず、変更が生じた日から1ヶ月以内に登記申請を行わない場合、10万円以下の過料が課されることがあります。
これは義務違反に対する行政罰であり、本来行うべき手続きを怠った結果として発生するものです。
しかし、過料以上に深刻なのは、登記簿の記載と建物の現況が異なることによって生じる様々な問題です。
登記簿は建物の公式な情報源であり、不動産取引や法律行為の際に参照されます。
この情報が実際と異なっていると、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
例えば、建物の売却を考えた際に、買主が登記簿と現況の不一致に気づき、契約がスムーズに進まなかったり、最悪の場合契約が破談になったりする可能性があります。
また、金融機関から融資を受ける際に、建物を担保とする場合にも、登記簿の正確性が求められます。
登記簿の情報が古いままだと、担保としての評価が適切に行われず、融資が受けられないといった事態も起こり得ます。

登記簿の記載と現況が異なると発生する問題

登記簿に記載されている建物の構造と、実際の建物の構造が異なっている場合、様々な問題が発生します。
まず、不動産取引における信頼性が失われます
建物を売却する際に、買主は登記簿を確認して建物の情報を把握しようとします。
その際に、登記簿上は木造となっているのに実際は鉄骨造であるなど、構造が異なっていることが判明すると、買主は不安を感じ、取引に不信感を抱く可能性があります。
最悪の場合、契約そのものが無効になったり、損害賠償を請求されたりするリスクもゼロではありません。
不動産取引は高額な契約であり、買主は正確な情報を得て判断したいと考えています。
登記簿と現況の不一致は、買主にとって大きなリスクと映るため、取引の障害となりやすいのです。
次に、金融機関からの融資が困難になる可能性があります。
建物を担保にして住宅ローンや事業資金の融資を受ける際、金融機関は登記簿を基に建物の評価を行います。
登記簿の情報が現実と異なっていると、金融機関は正確な担保評価ができず、融資の実行を渋ったり、条件が厳しくなったりすることが考えられます。
また、既に融資を受けている場合でも、担保価値に疑義が生じることで、追加担保を求められたり、最悪の場合、期限の利益を喪失する可能性も否定できません。
正確な登記は、円滑な不動産取引や資金調達のために不可欠です。

固定資産税や相続時の思わぬ落とし穴

構造変更登記を怠ることは、固定資産税や相続といった場面でも思わぬ落とし穴となる可能性があります。
固定資産税は、登記簿に記載された建物の情報に基づいて評価され、税額が決定されます。
もし構造変更によって建物の価値が上がったにも関わらず、登記簿が古い情報のままになっていると、適切な固定資産税が課税されない状態が続くことになります。
これは本来納めるべき税金を納めていないことになり、後になって税務署から指摘を受け、延滞税を含めた追徴課税を求められる可能性があります。
遡って多額の税金を一度に支払うことになれば、家計に大きな負担となるでしょう。
逆に、構造変更によって建物の価値が下がったにも関わらず登記変更をしていない場合は、本来より高い税金を払い続けることになります。
また、相続の際にも問題が生じることがあります。
相続手続きでは、亡くなった方の所有していた不動産を相続人が引き継ぐために、登記簿の情報に基づいて手続きを進めます。
登記簿と現況が異なっていると、相続人や関係者が建物の正確な状況を把握できず、遺産分割協議が難航したり、相続登記の手続きが複雑化したりすることがあります。
特に、相続人が複数いる場合や、遠方に住んでいる相続人がいる場合などは、情報の不一致がさらなる混乱を招く可能性があります。
正確な登記は、将来的な相続手続きを円滑に進めるためにも非常に重要です。

構造変更登記を検討する際に注意すべきこと

構造変更登記を検討する際には、いくつかの重要な注意点があります。
まず、最も重要なのは、構造変更を伴う工事を行う前に、建築確認申請が必要かどうかを確認することです。
建物の構造や規模を大きく変更するような大規模な改修や増築は、建築基準法に基づく建築確認申請が必要となる場合があります。
建築確認を受けずに違法な増改築を行ってしまうと、後から構造変更登記を申請しようとしても、建築基準法違反の状態であるため登記ができない可能性があります。
また、違法建築物は売買や融資の対象となりにくく、将来的に是正命令が出されるリスクも伴います。
必ず事前に建築士などの専門家に相談し、必要な手続きを確認しましょう。
次に、工事が完了したら、できるだけ速やかに構造変更登記の手続きを開始することです。
前述の通り、登記には申請期限があり、遅れると過料の対象となる可能性があります。
また、時間が経つと工事に関する書類を紛失したり、工事内容を正確に思い出せなくなったりするリスクもあります。
工事完了後すぐに専門家である土地家屋調査士に相談し、手続きを進めるのが賢明です。
さらに、専門家に依頼する場合は、複数の事務所から見積もりを取り、費用や対応について比較検討することをお勧めします。
費用だけでなく、担当者の信頼性やコミュニケーションの取りやすさも重要な判断基準となります。
構造変更登記は専門的な知識が必要な手続きですので、安易に考えず、信頼できる専門家と連携して正確に進めることが、将来的なトラブルを避けるために非常に大切です。

まとめ

建物の構造に変更が生じた際に必要となる構造変更登記は、建物の現況を登記簿に正確に反映させるための重要な手続きです。
木造から鉄骨造への変更、屋根の種類や階数の変更などがこれに該当し、増築登記や用途変更登記とは異なる目的を持っています。
この登記は不動産登記法で義務付けられており、変更が生じた日から1ヶ月以内に申請する必要があります。
構造変更登記を怠ると、不動産登記法違反による過料が課される可能性があるだけでなく、登記簿の記載と現況の不一致によって、不動産取引の停滞、金融機関からの融資困難、固定資産税の不適正な課税、相続手続きの複雑化など、様々なリスクや問題が発生する可能性があります。
ご自身の財産である建物の価値を守り、将来的なトラブルを未然に防ぐためにも、正確な登記は不可欠です。
構造変更登記の手続きは、必要書類の準備や専門的な図面作成など、専門知識が必要となる場合が多いため、多くの場合、土地家屋調査士に依頼することになります。
依頼する専門家を選ぶ際には、実績や費用、担当者との相性などを考慮して慎重に選びましょう。
また、構造変更を伴う工事を行う前には、建築確認申請が必要かどうかを必ず確認することも非常に重要です。
建物の構造変更を行った際は、「いつかやろう」と先延ばしにせず、速やかに専門家に相談し、適切な手続きを進めることが、安心して建物を所有し続けるための最善策と言えるでしょう。

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