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遺贈による所有権移転登記遺言書を使った手続きの流れ

遺言書によって大切な財産を受け取る「遺贈」。
不動産を遺贈された場合、その所有権を正式にご自身の名義に変更するためには、「遺贈による所有権移転登記」という手続きが必要になります。
この手続きは、通常の相続登記とは異なる点があり、遺言書の内容や状況によって進め方が変わるため、少し複雑に感じるかもしれません。
しかし、故人の意思をしっかりと受け止め、財産を有効に活用するためには避けて通れない道です。
この記事では、遺贈による所有権移転登記遺言書を使った手続きの流れについて、わかりやすく丁寧にご説明します。
一つずつステップを確認しながら、安心して手続きを進めるための知識を身につけましょう。

目次

遺贈による所有権移転登記とは?相続登記との違い

遺贈による所有権移転登記は、被相続人(亡くなった方)が遺言書によって特定の人(相続人であるか否かを問わない)に財産を無償で譲る意思表示をした場合に、その財産の名義を遺贈を受けた人(受遺者)に変更するための法的な手続きです。
特に不動産の場合、この登記を完了しないと、受遺者は法的にその不動産の所有者として認められず、売却や担保設定などの処分行為を行うことができません。
また、固定資産税の納税義務者も旧名義のままになってしまう可能性があります。
遺贈登記は、遺言書の内容を実現し、受遺者が安心して遺贈された財産を受け継ぐために不可欠な手続きなのです。
この登記手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。

「遺贈」と「相続」による登記の違いを理解する

遺贈による所有権移転登記と、一般的な相続による所有権移転登記は、どちらも被相続人の死亡によって不動産の名義を変更する手続きですが、いくつか重要な違いがあります。
最も大きな違いは、遺贈は遺言書によって行われる一方、相続は遺言書がない場合や、遺言書があっても遺産分割協議が必要な場合に行われるという点です。
相続登記の場合、法定相続人全員が共同で申請するか、遺産分割協議が成立した場合はその内容に基づいて申請します。
これに対し、遺贈登記は、原則として遺贈者(亡くなった方)の相続人全員と受遺者が共同で申請するのが原則です。
ただし、遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者と受遺者が共同で申請することができます。
この点が手続きの負担に大きく影響します。
また、登記申請書に添付する書類も一部異なります。
相続登記では相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書が必要になることが多いですが、遺贈登記では遺言書が最も重要な書類となります。
遺贈登記では、遺言書の内容が手続きの根拠となるため、遺言書の有効性や内容の正確性が非常に重要視されます。

なぜ遺贈登記が必要になるのか?

遺贈登記が必要になる理由は、不動産という重要な財産の所有権の所在を、社会に対して明確に示すためです。
日本の不動産登記制度は、不動産の物理的な状態や権利関係を公示することで、取引の安全を保護する役割を担っています。
遺贈によって不動産を取得した場合でも、登記簿上の名義が被相続人のままだと、第三者からは誰が真の所有者であるかが分かりません。
例えば、受遺者がその不動産を売却しようとしたり、金融機関から融資を受ける際に担保にしようとしたりしても、登記名義が受遺者になっていなければ手続きを進めることができません。
また、万が一、被相続人の相続人が勝手に相続登記を行ってしまい、さらに第三者に不動産を売却してしまうといったトラブルが発生するリスクもゼロではありません。
遺贈登記を速やかに行うことは、受遺者自身の権利を法的に確立し、将来的なトラブルを未然に防ぐための最も確実な方法なのです。
故人の「この不動産を〇〇さんに遺贈する」という意思を法的に実現するためにも、遺贈登記は欠かせない手続きと言えます。

特定遺贈と包括遺贈で手続きは変わる?

遺贈には、特定の財産を指定して遺贈する「特定遺贈」と、「遺産の〇分の〇」というように遺産の全体に対する割合を指定して遺贈する「包括遺贈」の二種類があります。
不動産の遺贈登記の手続きにおいて、この二つには違いが生じることがあります。
特定遺贈の場合、受遺者は遺贈の対象となった特定の不動産について、他の相続人の協力(共同申請)を得て登記申請を行うのが原則です。
遺言執行者がいれば、遺言執行者と受遺者の共同申請となります。
これに対し、包括遺贈の場合、受遺者は相続人とほぼ同じような権利義務を持つとみなされるため、登記手続きにおいても相続人と似た扱いを受けることがあります。
例えば、遺言執行者がいない包括遺贈の場合、受遺者単独で登記申請ができるケースも存在します(ただし、登記原因証明情報などでは他の相続人の協力を要する場合が多いです)。
また、包括受遺者は遺贈の放棄をする際に、特定遺贈のように相続人の承諾を得る必要はなく、単独で家庭裁判所に申述することができます。
このように、特定遺贈か包括遺贈かによって、登記申請の際の申請人や必要となる手続きが微妙に変わってくるため、ご自身のケースがどちらに該当するのか、遺言書の内容をよく確認することが重要です。

遺贈登記に必要な遺言書の種類と確認ポイント

遺贈による所有権移転登記を進める上で、最も根幹となるのが「遺言書」です。
遺言書がなければ、そもそも遺贈という事実が存在しないため、遺贈登記はできません。
遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれに法的な有効性の要件や、その後の手続きにおける取り扱いが異なります。
遺贈登記をスムーズに進めるためには、まずお手元にある遺言書の種類を確認し、その有効性をチェックするとともに、登記に必要な情報がしっかりと記載されているかを確認することが非常に重要です。
遺言書の不備は、その後の登記手続きが滞る最大の原因となり得ます。

公正証書遺言を使った手続きのメリット・デメリット

公正証書遺言は、公証役場で公証人が遺言者から聞き取った内容を基に作成する遺言書です。
証人二名以上の立ち合いが必要ですが、法律の専門家である公証人が作成するため、形式の不備で無効になるリスクが極めて低いという大きなメリットがあります。
また、原本は公証役場に保管されるため、紛失や偽造の心配がありません。
遺贈登記の手続きにおいては、公正証書遺言であれば、原則として家庭裁判所での「検認」手続きが不要になるという利点があります。
検認は遺言書の存在と内容を相続人等に知らせ、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きですが、公正証書遺言はその作成過程が厳格なため、検認が免除されているのです。
これにより、登記手続きを比較的迅速に進めることが可能になります。
デメリットとしては、作成に費用がかかることと、遺言の内容を公証人や証人に知られてしまうという点が挙げられます。
しかし、手続きの確実性やスムーズさを重視するのであれば、公正証書遺言は遺贈登記において最も扱いやすい遺言書と言えるでしょう。

自筆証書遺言を使った手続きの注意点と検認

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、氏名を自筆し、押印して作成する遺言書です。
費用がかからず、いつでも手軽に作成できるというメリットがありますが、形式の不備によって無効になってしまうリスクが高いという大きなデメリットがあります。
例えば、日付の記載漏れや、氏名がゴム印である、押印がない、など、些細な不備でも無効となる可能性があります。
また、保管場所によっては紛失や改ざんのリスクも伴います。
自筆証書遺言を使って遺贈登記を行う場合、公正証書遺言とは異なり、原則として家庭裁判所での「検認」手続きが必須となります。
検認を経ずに自筆証書遺言で登記申請を行っても、法務局は受理してくれません。
検認には通常1ヶ月から数ヶ月かかることもあり、その分登記手続きの完了も遅れることになります。
さらに、検認は遺言書の有効・無効を判断する手続きではなく、あくまで遺言書の存在を確認する手続きであるため、検認を経たからといって遺言書が必ず有効であると保証されるわけではありません。
遺贈登記を進める前に、まずは検認手続きを済ませる必要があることを覚えておきましょう。
2020年7月からは自筆証書遺言書保管制度が始まり、法務局で保管された自筆証書遺言は検認が不要となりました。
この制度を利用している場合は、検認なしで登記に進めます。

遺言書の内容が登記申請にどう影響するか

遺贈登記においては、遺言書の内容が登記申請の根拠そのものとなります。
したがって、遺言書に記載されている内容が、登記申請書や添付書類と整合性が取れている必要があります。
特に重要なのは、誰に(受遺者)、どの財産を(対象不動産の表示)、どのように(特定遺贈か包括遺贈か)遺贈するのかが明確に記載されていることです。
対象となる不動産の表示が登記簿上の記載と異なっている場合や、受遺者の特定が曖昧な場合などは、登記申請が受理されないか、補正(不備の訂正)を求められる可能性があります。
例えば、「自宅を長男に遺贈する」という記載だけでは、自宅の正確な地番や家屋番号が不明確なため、別途固定資産税の納税通知書や登記簿謄本などを基に特定する必要があります。
また、複数の不動産が遺贈される場合、それぞれの不動産について遺贈の意思が明確に示されているか確認が必要です。
遺言書に遺言執行者が指定されているかどうかも、登記申請の際の申請人が変わってくるため、重要な確認ポイントです。
遺言書の内容に不明な点や疑問がある場合は、専門家である司法書士に相談することをお勧めします。

遺贈による所有権移転登記の具体的な手続きの流れ

遺贈による所有権移転登記は、遺言書の内容や関係者の状況によって多少手順が異なりますが、基本的な流れは共通しています。
この手続きは、主に必要書類の収集、登記申請書の作成、法務局への申請、そして登記完了の確認というステップで進められます。
相続登記に比べて関与者が増える可能性があり、調整に手間取ることがあるため、全体の流れを事前に把握しておくことがスムーズな手続きにつながります。
一つ一つの手続きを丁寧に進めることが、無事に登記を完了させる鍵となります。

登記申請の前に準備すべきこと(必要書類の収集)

遺贈登記の申請を行うためには、様々な書類を収集する必要があります。
主な必要書類は以下の通りです。

  • 遺言書:原本が必要です。
    自筆証書遺言の場合は検認済証明書も必要です(保管制度利用の場合は不要)。
  • 被相続人の戸籍謄本:出生から死亡までの連続したものが必要です。
    これにより、被相続人の相続人が誰であるかを確認します。
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票:被相続人の最後の住所を確認するために必要です。
    登記簿上の住所と一致しない場合に必要となることがあります。
  • 受遺者の住民票:新しい所有者として登記される受遺者の現在の住所を証明するために必要です。
  • 登記済権利証または登記識別情報:被相続人がその不動産を取得した際に発行されたものです。
    原則として申請書に添付する必要はありませんが、提出を求められるケースや、申請情報をオンラインで送信する際に必要となる場合があります。
  • 固定資産評価証明書:登記申請時の登録免許税を計算するために必要です。
    不動産の所在地の市区町村役場で取得できます。
  • 相続人全員の印鑑証明書:遺言執行者がいない場合で、相続人全員と受遺者が共同で申請する際に必要となります。
    遺言執行者がいる場合は不要です。
  • 遺言執行者の資格証明書:遺言執行者が登記申請を行う場合に必要です。
    通常は遺言書そのものがこれに当たります。

これらの書類の中には、役所で取得するものや、自宅で保管しているものなど様々です。
特に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は、役所をまたがって取得する必要があり、時間と手間がかかることが多い書類です。
書類の収集は登記申請の準備段階で最も時間を要するプロセスの一つですので、早めに取り掛かることをお勧めします。
不足書類があると申請が受け付けられなかったり、補正を求められたりするため、事前にリストを作成し、漏れがないか確認しながら進めましょう。

法務局への申請方法と流れ(オンライン・郵送・窓口)

必要書類が全て揃い、登記申請書が作成できたら、いよいよ法務局へ申請します。
申請方法は主に以下の三つがあります。

  1. 窓口申請:管轄の法務局の窓口に直接書類を持参して申請する方法です。
    職員に書類の確認をしてもらいながら進められるため、初めての方でも比較的安心できる方法です。
    ただし、法務局の開庁時間内に訪問する必要があります。
  2. 郵送申請:必要書類一式を管轄の法務局宛てに郵送する方法です。
    遠方の法務局に申請する場合や、窓口に行く時間が取れない場合に便利です。
    特定記録郵便や簡易書留など、追跡可能な方法で送るのが一般的です。
  3. オンライン申請:インターネットを利用して登記申請情報を送信する方法です。
    法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。
    添付書類は別途郵送または窓口に提出する必要がありますが、申請自体は自宅やオフィスから行うことができます。
    専門家である司法書士に依頼する場合に利用されることが多い方法です。

どの方法で申請する場合でも、提出する書類の内容は基本的に同じです。
申請を受け付けた法務局では、提出された書類に基づいて審査を行います。
審査の結果、書類に不備がなければ登記が実行されます。
万が一、書類に不備があった場合は、法務局から連絡があり、補正を求められます。
補正が完了次第、審査が再開されます。
初めて手続きを行う方や、書類作成に不安がある方は、窓口での申請を選択するか、事前に法務局の相談窓口を利用することをお勧めします。

登記完了までの期間と確認方法

遺贈による所有権移転登記の申請が法務局で受理されてから、登記が完了するまでの期間は、法務局の混雑状況や申請内容、提出書類の状況によって異なります。
一般的には、申請から完了まで1週間から2週間程度かかることが多いようですが、繁忙期や複雑な案件の場合はそれ以上の期間を要することもあります。
特に、書類に不備があり補正が必要になった場合は、その分完了までの期間が延びます。
登記が完了すると、法務局から登記識別情報通知(いわゆる権利証に代わるもの)や登記完了証が発行されます。
これらの書類は、登記申請時に提出した書類とともに返却されるのが一般的です。
登記が完了したかどうかは、法務局の窓口で確認するか、オンライン申請の場合はシステム上で確認することができます。
また、登記完了後に法務局から連絡がある場合もあります。
無事に登記が完了したら、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して、ご自身の名義に正確に変更されているかを確認しておきましょう。
この登記簿謄本は、今後の不動産の取引や各種手続きで必要になる重要な書類となります。

遺贈登記にかかる費用と注意点

遺贈による所有権移転登記を行う際には、いくつかの費用が発生します。
主な費用は登録免許税と、専門家に依頼する場合はその報酬です。
これらの費用を事前に把握しておくことで、準備をスムーズに進めることができます。
また、遺贈登記にはいくつかの注意点があり、これらを知らずに進めるとトラブルに巻き込まれたり、手続きが滞ったりする可能性があります。
特に遺留分や遺言執行者の存在は、手続きに大きく影響するため、ご自身のケースに関連するかどうかを確認しておくことが重要です。

登記費用(登録免許税)の計算方法と専門家報酬

遺贈による所有権移転登記にかかる主な費用の一つが「登録免許税」です。
これは登記を行う際に国に納める税金で、不動産の固定資産評価額に基づいて計算されます。
遺贈の場合の登録免許税の税率は、原則として固定資産評価額の1000分の20(2%)です。
例えば、固定資産評価額が1000万円の不動産を遺贈された場合、登録免許税は1000万円 × 2% = 20万円となります。
ただし、遺贈を受ける人が相続人である場合は、相続登記と同じ税率が適用され、固定資産評価額の1000分の4(0.4%)となる特例があります。
この特例が適用されるかどうかは、受遺者が法定相続人にあたるかどうかが基準となります。
登録免許税は、登記申請書に収入印紙を貼付して納めるのが一般的です。

ご自身で手続きを行うのが難しい場合や、手続きを確実にスムーズに進めたい場合は、司法書士などの専門家に依頼することになります。
その場合、専門家に対する報酬が発生します。
司法書士報酬の金額は、依頼する事務所や案件の難易度、不動産の価額などによって異なりますが、一般的には数万円から十数万円程度が目安となることが多いでしょう。
登録免許税は法定費用であるため全国一律ですが、司法書士報酬は事務所によって異なりますので、依頼を検討する際は事前に見積もりを取ることをお勧めします。
これらの費用に加えて、戸籍謄本などの書類取得にかかる実費も必要になります。

遺留分侵害額請求と遺贈登記の関係

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者、子、直系尊属)に法律上保障されている、最低限の遺産取得分です。
遺言書による遺贈や贈与が、この遺留分を侵害している場合、遺留分権利者は遺贈や贈与を受けた人(受遺者や受贈者)に対して、遺留分を侵害された分の金銭の支払いを請求することができます。
これを「遺留分侵害額請求」といいます。
遺贈による所有権移転登記自体は、遺留分侵害額請求とは直接的には関係なく、遺言書の内容に従って行われる手続きです。
しかし、遺贈を受けた不動産に対して遺留分侵害額請求がなされた場合、受遺者は遺留分権利者に対して金銭を支払う義務を負います。
支払いができない場合、最悪のケースでは遺贈された不動産を売却して支払いに充てなければならなくなる可能性もゼロではありません。
遺贈登記を進める際には、遺言書の内容が他の相続人の遺留分を侵害していないか、もし侵害している可能性がある場合は、他の相続人との間で事前に話し合いを持つなど、慎重に対応することが重要です。
遺留分に関する問題は非常にデリケートであり、法的な知識も必要となるため、不安がある場合は弁護士や司法書士といった専門家に相談することをお勧めします。

遺言執行者がいる場合の手続きの進め方

遺言書の中で、遺贈を含む遺言の内容を実現するための手続きを行う「遺言執行者」が指定されている場合があります。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な一切の権限を持ちます。
不動産の遺贈登記においては、遺言執行者がいる場合、登記義務者(名義を渡す側)は被相続人ではなく、遺言執行者となります。
つまり、遺言執行者と受遺者が共同して登記申請を行うことになります。
この場合、原則として被相続人の相続人全員の協力(印鑑証明書など)は不要となり、手続きがスムーズに進められるという大きなメリットがあります。
遺言執行者は、遺言書に記載された遺言内容を正確に把握し、必要な書類を収集し、登記申請書を作成して法務局に提出する手続きを行います。
遺言執行者が専門家(弁護士や司法書士など)である場合は、手続きを専門家に一任できるため、受遺者自身の負担はかなり軽減されます。
もし、遺言書に遺言執行者の指定がなく、相続人の中に協力が得られない人がいるような場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることも可能です。
遺言執行者がいるかどうかは、遺贈登記の手続きにおいて申請人が誰になるかを左右する非常に重要なポイントです。
遺言書を確認し、遺言執行者の有無を把握しておくことが、その後の手続きを円滑に進める第一歩となります。

まとめ

遺言書による遺贈を受けた不動産の所有権を、ご自身の名義に変更するための遺贈による所有権移転登記は、故人の意思を実現し、受遺者の権利を確立するための重要な手続きです。
この手続きは、通常の相続登記とは異なり、遺贈者(亡くなった方)の相続人全員と受遺者が共同で申請するのが原則ですが、遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者と受遺者の共同申請となります。
手続きを進めるためには、まず遺言書の種類(公正証書遺言か自筆証書遺言か)を確認し、自筆証書遺言の場合は原則として家庭裁判所での検認が必要となります(保管制度利用の場合は不要)。
その後、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や受遺者の住民票、固定資産評価証明書など、様々な必要書類を収集します。
書類が揃ったら、登記申請書を作成し、管轄の法務局へ窓口、郵送、またはオンラインで申請します。
登記が完了するまでには通常1週間から数週間かかります。
遺贈登記には登録免許税がかかり、その税率は原則として固定資産評価額の2%ですが、受遺者が相続人の場合は0.4%となる特例があります。
また、遺留分を侵害していないか、遺言執行者がいるかどうかといった点も、手続きを進める上で確認すべき重要な注意点です。
遺贈登記は、遺言書の内容や関係者の状況によって手続きが複雑になる可能性があるため、不安な点があれば司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
この記事が、遺贈登記手続きを進める上での一助となれば幸いです。

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